MAIL MAGAZINE

用賀アーバンクリニック通信

用賀アーバンクリニック通信2010年6月号

2010/6/25

┏━┳━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┳━┳━┓
┃■┃■┃  月刊  用賀アーバンクリニック通信 2010年 6月号    ┃■┃■┃
┗━┻━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┻━┻━┛

 ━━ こんにちは!用賀アーバンクリニックです。 ━━━━━━━━━━━
 
 関東地方も梅雨入りし、湿度の高い、鬱陶しい天気が続いています。九州南部
 では、記録的豪雨とのこと。土砂崩れによる被害等が出ているようです。日頃
 の災害に対する備えを再確認しておくことも必要だと思います。最低でも2日分
 くらいの水、食料を備蓄しておきたいですね。

 さて、今月から増田浩三医師による、医療コラムを開始致します。
 タイトルは、「コモンな病気ファイル」です。コモンとは、「一般的な、あり
 ふれた」の意味があり、用賀アーバンクリニックで比較的多く見られる疾患を、
 わかりやすく解説していきます。読者の皆様で、「この病気について知りたい
 !」や「こんな症状があるのですが、これって病気?」というようなことがあ
 りましたら、ご意見をお寄せ下さい。

 HOT! Topics には、先月に引き続き、感染症についてのお話で、今月は、百日
 咳になります。栄養コラムも忙しいビジネスパーソンのかたにはお勧めです。

 ご意見、ご感想、お待ちしております。
 
                                                                              (患者様サービス担当  正者忠範)

 ┏━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ┃▼┃INDEX
 ┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  ─ HOT! Topics    ─> 用賀・世田谷近辺の最新疾病状況
 
  ─ 栄養コラム     ─> 夕食が遅くなるかたへ

  ─ 医療コラム     ─> コモンな病気ファイル その1 「肋軟骨炎」

  ─ クリニック情報 ─> 休診、お知らせ等

 ┏━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ┃▼┃HOT! Topics: 用賀・世田谷近辺の最新疾病状況@2010年6月
 ┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 
 
 かつては子供の病気と考えられていた百日咳が、近年大人の間でも流行している
 ことをこのメルマガでもお伝えしてきましたが、今年は報告される患者さんの半
 数以上は20歳以上が占めていることが国立感染症研究所の分析で明らかになりました。百日咳は子供の病気とういよりは、大人に多い病気になってきたということです。

 百日咳とは、百日咳菌という細菌が原因となる感染症です。

 潜伏期間は1週間から10日程度で、風邪に似た症状ではじまり、次第に咳がひどくなってきます。息を吸い込むときに「ヒュー」という音が出たり、夜間に咳発作が起きたりしますが、大人ではこの特徴的な症状があまりみられずに、長引く咳のみの症状のかたが多いとされています。

 熱はあまりでずに、胸のレントゲンをとっても異常所見はみられません。

 定期接種で乳幼児期にジフテリア、破傷風との3種混合ワクチンの接種を4回受けるのですが、接種を受けるまでは感染のリスクが高く、乳幼児は肺炎や脳症など重い合併症が起きる恐れもあり、特に6ヶ月未満の乳児には注意が必要です。大人が重症化するケースはまれですが、なかなか診断がつかずに咳が出続けていると、周りに感染を広げてしまうことになります。

 さて、この百日咳の完全な診断は非常に難しいのが現状です。インフルエンザのような迅速検査はありません。

 健康保険で可能なのは、血液の抗体価の測定と鼻の奥からの培養の検査だけです。
 抗体価の評価は、病期(発症してどの程度経過しているか)やワクチン接種の有無により、数値の判断が難しいケースがあります。培養検査は、陽性になるのは病初期のみで、ある統計では成人の百日咳の培養での同定率は2%程度とされており、現実的な検査法ではありません。周りの流行状況や各症状を鑑み、総合的に判断をして診断しているケースが多いのが現状です。

 報道の影響か、当院でも長引く咳の患者さんが、百日咳を心配され受診されるケースが増えてきました。実際、血液検査で抗体検査をしたところ、百日咳を強く疑う患者さんや否定できない患者さんが意外に多くおられます。もちろん他の疾患であるケースもあり、鑑別診断としては、上気道炎後の遷延咳嗽、咳喘息やマイコプラズマ、クラミジア、アデノウイルスなどの呼吸器感染症などがあげられます。

 診断がつけば、抗生剤が有効です。早期の投与により症状を軽くし、菌の排出する期間の短縮も期待できるとされています。

 長引く咳でお困りのかたは、是非ご相談ください。


                                                                                                     (医師 田中 勝巳)
 ┏━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ┃▼┃栄養コラム:夕食が遅くなるかたへ
 ┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
   
 
 うっとうしい梅雨の最中ですが秋の豊穣に向けての恵みの雨でもあります。四季の移り変わりを大切にしたいですね。

 4月からの新しい環境にも慣れて、帰宅時間が遅くなってきた方も多いと思います。
 昼ご飯を麺類などで軽く済ませ、その後何時間も何も食べずに、夜遅く帰宅となれば、お腹はぺこぺこでしょう。そして満腹になるまで夕食をドカ食いして、寝てしまう。
 朝は食欲もわかず、朝食抜きで又会社へ・・と悪循環ですね。

 同じものを食べていても遅い夕食は肥満の元となります。今回はその理由と、それでも、どうしても夕食が遅くなってしまう方へのアドバイスをお伝えしたいと思います。

 ◎副交感神経に支配される夜の体
 
 自律神経は交感神経と副交感神経のバランスによって成り立っています。
 日中、活発に働く交感神経は心臓の働きを高め、エネルギーを使う体に備えています。
 反対に、夜になると副交感神経が働き、心臓の活動を抑制して、体を休め、エネルギーを貯め込む方に働きます。

 ◎脂肪をため込むタンパク質 ≪BMAL(ビーマル)-1(ワン)≫

 BMAL-1は体内時計を調節するタンパク質です。
 最近の研究で脂肪細胞を大きくする働きがある事がわかってきました。BMAL-1は時間帯によって量が変化します。22時以降、急激に増加するので夜遅い食事は脂肪をため込みやすくなります。逆に少ないのは午後3時ごろです。3時のおやつに甘い物を食べるのは理にかなっていますね。

 ◎糖分のままでは少ししか貯蔵できません

 余ったエネルギーは肝臓や筋肉に蓄えられますが、すぐに使える糖分のままで貯められるのは300g程度です。その量を超えると脂肪の形で蓄えられます。だからご飯やお酒を多く摂り過ぎると中性脂肪が増えるのです。


 ☆夕食が遅くなる方へのアドバイス

 1.夕方に少し食べる

       夕食が夜遅くなるとわかっていたら200kcal以内を目安に、おにぎり(具材により160~200kcal)を夕方に食べておくのも良い方法です。近頃コンビニや駅にも出回っている補食を目的にした大豆製品やシリアルのビスケットなどを利用するのもお手軽です。もちろん夜はその分を減らして食べましょう。

 2.食事内容の見直し
    
        夜遅い食事は胃腸に負担をかけないように消化の良い物にしましょう。
        白身魚の鍋、根菜のポトフ、雑炊、うどんなど脂肪分の少ないあっさりしたものがお勧めです。

 3.食べる順番を考える
 
        野菜やきのこ、海藻など食物繊維の多いものから先に食べましょう。
        食物繊維は整腸効果や余分なコレステロールを吸着して体外に排泄したり、糖質の吸収をゆるやかにして食後血糖値の急激な上昇を抑える働きがあります。
       「食事は、野菜や汁ものからゆっくり食べてご飯は最後に1膳まで」を心がけましょう。

 肥満を防ぎ、胃腸を守るために、太りやすい夜の食事を賢くコントロールしたいものです。


                                                                            (管理栄養士 鈴木今日子)

 ┏━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ┃▼┃医療コラム:コモンな病気ファイル 
          その1「肋軟骨炎(ろくなんこつえん)」
 ┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 今月号からは、当院でもよく経験するコモンな病気について、少しずつご紹介していきます。

 第1回目の今号では、胸の痛みを訴えて受診される比較的若い方に多い「肋軟骨炎」 (ろくなんこつえん)という病気について取り上げます。

 一般の方々にはあまりなじみのない病名だと思いますが、この病気では比較的鋭くて、強い胸の痛みを感じますので、いかにふだん元気な若い方でも、心臓や肺の重大な病気ではなかろうかと心配して受診されるわけです。

 しかし、この病気は、心臓や肺には関係なく、それより外側にある外壁の問題ですから、生命にかかわることはほぼありません。

 当院のようにプライマリ・ケアを担当するクリニックでは、胸の痛みを訴えて受診される方のうち、この肋軟骨炎が一番多いというデータもあります。しかし、このように頻度の高いコモンな病気でありながら、私はこの病気を医学生の時には習いませんでしたし、私たちが診察時に時々参照するマニュアルにもこの病気について正しく記載してありませんでした。このように医療従事者のなかでも十分知られていない現状もあり、「肋間神経痛」などのような病名をつけられて、この病気の原因、治療、経過などについて正しい説明がなされず、患者さんに不安が残ってしまう様子がよく見 受けられるのです。

 肋軟骨炎は、風邪などで咳がひどいときや激しいスポーツをした後などにみられることが多く、前胸部から側胸部にかけてのある特定の部位に鋭い痛みが出現します。
 この痛みは咳をしたり、深呼吸をしたり、笑ったり、くしゃみをしたりした際に増強し、寝返りなど上半身の動きや腕の動きなどでも痛みが誘発されることがあり、あたかも肋骨骨折のような症状です。

 診察では特定の部位を1本の指で圧迫して痛みが誘発されることを確認します。
 この痛みの出る部位というのがほぼ決まっていて、その部位に一致して痛みが再現できるようであれば、より疑い濃厚となります。おもしろいことに、押さえる場所を数センチずらしただけで圧痛は消失~軽減するので、これも診断のポイントです。 
 
 実は前胸部の肋骨の部分には骨ではなく肋軟骨という軟骨が存在していて、背中から前のほうへまわってくる肋骨と、胸の真ん中にある胸骨とをつないでいます。この肋軟骨はレントゲンにうつりませんから、胸部レントゲンをとると肋骨が胸から脇の下のあたりで終わっているように見えます。肋軟骨炎はこの背中からまわってくる肋骨と肋軟骨とのつなぎ目、または肋軟骨と胸の真ん中にある胸骨とのつなぎ目のどこかに炎症が起こるために痛みが発生するわけです。このつなぎ目以外の部位には痛みは起こりませんから、痛みの発生部位に着目すれば、問診と身体診察のみで診断できます。

 治療は、まずこの病気が生命にかかわる重大なものではないことを説明して患者さんに安心してもらうことから始まります。それだけで安心して薬も希望されずに帰られる方も多いですが、通常は1-2週間分の痛み止めのお薬を処方することが多いです。

 同時に運動を控えてもらったり、咳止めを併用したりして経過観察します。
 肋骨骨折と似た症状のため、それに準じてバストバンドとかリブバンドといわれる胸部固定帯の使用をお勧めしたりすることもあります。

 特別な治療はしなくても通常は2-4週間程度で疼痛は自然に軽快していきます。

 多くの患者さんは狭心症や心筋梗塞などの心臓発作を心配されていることが多いのですが、実は息を吸ったときに痛みがあり、指で外から押さえたときに痛みが出ることが確認できた時点で心疾患はおおむね否定的と判断できます。

 ですが、糖尿病、高脂血症、喫煙などの動脈硬化の危険因子を有する場合には、心疾患の可能性も念頭に置いて、心電図などの検査を行います。がんの骨病変による症状であったり、帯状疱疹の初期症状であったりすることもありますので、やはり一度受診していただく方がよいと思います。

                                                                                                     (医師 増田 浩三)
 ┏━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ┃▼┃クリニック情報:休診、お知らせ等
 ┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ・7/ 5(月)  野間口医師  休診 → 代診 増田医師

 ・7/26(火) 小澤医師    休診 → 代診 野間口医師

 ・7/27(水) 小澤医師    休診 → 代診 伊能医師(14時~)

 ・夏季休診    8/11(水)~15(日)

 ・野間口医師 8/25(水)~28(土)休診 
   
     8/25(水) 代診 田中医師
     8/26(木) 代診 AM なし PM 増田医師
     8/27(金) 代診 田中医師
     8/28(土) 代診 小澤医師 

 ・最新の医師時間割 http://www.plata-net.com/yoga/schedule.html


    急な変更等がある場合がございます。
    詳細は、お電話にて確認して頂くと確実です。

                                                                         (患者様サービス担当 正者忠範)

 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ━━ この用賀アーバンクリニック通信について ━━━━━━━━━━━━
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 このメールマガジンは、用賀アーバンクリニックの患者様に、より便利かつ安心して医療サービスを受けて頂きたいと願い、発行しています。
  
 メールマガジン内容に関するご意見やお問い合わせ、アドレス追加・変更、配信中止の際は、お手数ですが以下のメールアドレスまでご連絡下さい。
 
 ※メールでの医療相談は承っておりません。

 〔ご意見・お問合せ〕   mm-info@yoga-urban.ne.jp
 〔アドレス追加〕       mm-add@yoga-urban.ne.jp
 〔アドレス変更〕       mm-change@yoga-urban.ne.jp
 〔配信中止〕           mm-bye@yoga-urban.ne.jp
 〔バックナンバー〕     http://www.plata-net.com/blog/yoga/

                  ■ 発行 用賀アーバンクリニック メールマガジン編集部
               Copyright(c)2010 Yoga Urban Clinic。 All rights reserved。
バックナンバー一覧へ
ページの先頭へ戻る