2010/10/29
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┃■┃■┃ 月刊 用賀アーバンクリニック通信 2010年10月号 ┃■┃■┃
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━━ こんにちは!用賀アーバンクリニックです。 ━━━━━━━━━━━
すっかり秋を通り過ぎ、冬になってしまった感じのある気候が続いています。
紅葉しないで葉が落ちてしまうのではないかと心配になりますね。
この時期に台風が来るとか。これも地球温暖化の一つの表れなのでしょうか。
当院でも、インフルエンザ予防接種が始まっております。HOT! Topicsにも
ありますが、用賀近辺でもまだ流行はしていないようです。ぜひ、流行する
前に接種して下さい。当院、薬局前に「ワクチン接種について」のパンフレ
ットをご用意しております、ご参考下さい。
医療コラムでは、「マイコプラズマ感染症」を取り上げております。名前だ
け聞くと恐ろしそうなな病気です。詳しくは、本文をご覧下さい。
もうすぐ11月です。お出かけをなさる予定の方もいらっしゃいますよね。
どこへ行かれても、うがい・手洗い等の感染予防をお願いしたいと思います。
(患者様サービス担当 正者忠範)
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┃▼┃INDEX
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─ HOT! Topics ─> 用賀・世田谷近辺の最新疾病状況
─ 栄養コラム ─> 『「カロリーゼロ」「無糖」表示の不思議』
─ 医療コラム ─> コモンな病気ファイル その5:マイコプラズマ感染症
─ クリニック情報 ─> 休診、お知らせ等
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┃▼┃HOT! Topics: 用賀・世田谷近辺の最新疾病状況@2010年10月
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インフルエンザワクチンの接種に、ご来院いただく患者さんが増えてきました。
今年のワクチンの流通量は昨年に比べると潤沢な状態です。まだ流行もみられず、メディアも騒いでいないので、昨年のような混雑状況ではありませんが、これから11月、12月にかけてはさらに接種される患者さんが増えてくることが予想されます。特別な予約は不要ですので、接種をご希望されるかたは直接ご来院下さい。
インフルエンザワクチンと一緒に65歳以上のご高齢者などは、肺炎球菌ワクチンの接種を自らご希望されるかたが増えてきました。
このメールマガジンでもとりあげたことがありますが、テレビなどマスコミ報道
で知識を得られたかたが多いようです。
肺炎を起こす病原菌の中で、一番頻度の多い肺炎球菌という細菌に対するワクチ
ンで、肺炎の予防や肺炎にかかっても軽症ですむ効果が期待されます。効果は5年以上持続すると言われています。
抗生剤の効きにくい耐性菌も増えてきていることから、ご高齢者や呼吸器疾患、
糖尿病の持病のあるかたには推奨されています。
当院での接種価格は6,300円です。
なお、2010年2月に発売された小児用の7価肺炎球菌結合型ワクチン
(商品名プレベナー) とは違うものなのでご注意ください。
さて、ここ近辺の当院での流行状況です。
インフルエンザの患者さんはまだおられません。
のどの痛み、咳、鼻水などの普通風邪の症状で受診される患者さんが比較的多く
みられます。
嘔吐、下痢、腹痛などの症状がみられるウイルス性胃腸炎と考えられる患者さん
も少しずつ増えてきました。
のどの痛みと高熱で発症する溶連菌感染症の患者さんもちらほらみられます。
手洗いとうがいが、より重要な季節になってきました。
睡眠不足にならないように、普段から体調管理に努めるようにしましょう。
(医師 田中 勝巳)
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┃▼┃栄養コラム:『「カロリーゼロ」「無糖」表示の不思議』
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食欲の秋、いろいろたくさん食べたいけれど太りたくない、そんな時に「カロリーゼロ」「無糖」などの表示を見ると、気になりますね。
ここ数年でこれらの表示の食品数は大変増えています。
そのため「本当にゼロなんですか?」という質問を受けることも多くなりました。
その答えは「ゼロに近いものではありますが、ゼロではないものの方が多い」です。
なぜなら、これらの表現は栄養表示基準を満たせば、本当に「0カロリー」や「0グラム」でなくても、食品に表示することができるとされているからです。
その栄養表示基準とは、食品100g(ml)あたりの含有量で決められていて、熱量(カロリー)は5kcal未満なら「ゼロ」、「ノン」、「レス」、「無」と表示することができるのです。
ということは、100mlあたり、4.9kcalの飲み物は500mlのペットボトル1本飲むと24kcalになりますので、「ゼロ」と表示されていても これは『0kcal』 ではありません。
砂糖やトレハロースは1gあたり4kalですが、甘味料のキシリトールやソルビトールは1gあたり3kcal、マルチトール、ラクチトール、パラチニットは2kcalですので、これらを使うことで「カロリーゼロ」でも甘さのある飲み物ができるというわけです。
エリスリトールという甘味料については唯一0kcalですが、その他の材料と組み合わせて使われると全くのゼロではなくなることもあります。
糖分は100g(ml)あたり0.5g未満であれば「無糖」「ノンシュガー」「シュガーレス」と表示することができます。また、これは表示基準ではありませんが、「砂糖不使用」という表示の場合、糖分が入っていないということではなく、はちみつ、水あめ、ブドウ糖、果糖、乳糖、甘味料が使用されていて、単に「砂糖」が使われていないだけということもありますので表示のあるものは手にとって読んでみることをおすすめします。
また、「ひかえめ」「低」「ライト」「ダイエット」「オフ」などの表示は、食品100g (ml)あたり40kcal(飲み物は20kcal)未満であれば、表示することができ、糖分は100g (ml)あたり2.5g未満であれば、これらの表示ができます。
カロリーオフのスポーツドリンクでも500mlのペットボトル1本飲むと約90kcal程度ですから、約30分のウォーキングをしないと消費しないほどのカロリーになります。飲み物は『100mlあたり』で書かれているカロリーをチェックして掛け算してみましょう。
わずかな量なら確かにゼロに近いのですが、「ゼロ」や「低」「ひかえめ」は、つい安心して利用しがちです。1回量や頻度が増え、その結果、摂取量が増えてしまうとカロリー減にならないこともあります。特に飲み物では、常飲すると甘さを感じる飲み物でなければ落ち着かなくなるなど、習慣化してしまうことも多く、注意が必要です。
「ゼロに替えたのにやせない」 という方、心当たりありませんか?
(管理栄養士 蛯原 啓子)
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┃▼┃医療コラム:コモンな病気ファイル その5:マイコプラズマ感染症
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先月は、今年まだ流行の兆しのみられていない「インフルエンザ」について取り上げましたが、今月は季節にかかわらずよくみられる呼吸器系感染症の「マイコプラズマ感染症」をご紹介します。
この病気は、以前は「オリンピックの開催年に流行することが多い」と言われていましたが、少なくとも今は時期に関係なくいつでもみられる病気であると言えます。
この感染症の原因は「肺炎マイコプラズマ」という病原体なのですが、その大きさは細菌より小さく、ウイルスより大きいというように、いろいろな点で細菌とウイルスの中間の性格を持っています。臨床的にも、細菌が引き起こすことが多い「市中肺炎」のなかで、その原因のベスト5に入っている一方で、肺炎まで起こしていても全体的な体の状態はウイルス性の「風邪」程度にしか障害されないといったように、やはり「細菌性でもなく、ウイルス性でもない」といったタイプの肺炎を引き起こします。
このような普通の肺炎とちょっと違う臨床像を呈する肺炎を「異型肺炎」と呼んでいるのですが、マイコプラズマ感染症はこの「異型肺炎」を引き起こす代表的な原因なのです。なお、「市中肺炎」とは、入院している患者さんや免疫の低下している人に発症する肺炎ではなく、元来健康に暮らしている人に発症する肺炎を総称的にこう呼んでいます。
肺炎マイコプラズマは上述しましたように、肺炎の原因になることもありますが、感染した人のうち、肺炎にまで至るのは3~10%程度でしかありません。大多数の感染者は、無症状で自然治癒するか、「風邪」と同じような上気道炎、あるいは気管支炎程度ですみます。
発症初期の症状としては、のどの痛み、発熱、だるさ、鼻みず、せきなどが挙げられますが、これらはふつうの「風邪」とほとんど同じですから初期症状ではウイルス性の「風邪」とマイコプラズマ感染症はほとんど区別できません。
実際、1日何人もこのような症状の方を診療していても、マイコプラズマ感染症を初期の段階から自信をもって診断することはとても難しいです。
ただ、強いて言えば、ウイルス性上気道炎では発症後数日から1週間以内にのどの痛み→鼻みず→せきなどのように症状が変化していく傾向がありますが、マイコプラズマ感染症では最初の1週間くらいはすべての症状がそのままゆっくりと強くなっていく傾向があるようです。
また、マイコプラズマ感染症では比較的初期の段階からせきが目立つことが多く、それは痰を伴わない乾いたせきが主体で、発作的に出現し、夜間に増強しやすい印象があります。
その後はとにかく頑固なせきが持続することが特徴で、発症後1週間を超えた時期になるとマイコプラズマ感染症の可能性を常に疑う必要があります。
困ったことに、気管支炎や肺炎になってひどいせきがみられているときでも、聴診器で呼吸音をよく聴いても何ら異常な所見がみられないことがほとんどなのです。胸部のレントゲンを撮ってみて、明らかな肺炎像がみつかり、びっくりすることもあります。
このように聴診所見とレントゲン所見が大きく解離することもマイコプラズマ感染症の特徴です。ですから、頑固なせきでマイコプラズマ感染症が疑われる場合には、聴診で異常がなくてもレントゲン検査を考慮する必要があり、私たちは外来診療において、そのタイミングが遅くならないように気をつけています。
さて、臨床的にマイコプラズマ感染症が疑わしいということになった場合、どのように確定診断したらよいのでしょうか。残念ながらマイコプラズマ感染症では、インフルエンザのような簡便な迅速診断法は普及していません。ただ、以前私が勤務していた大学病院では、肺炎マイコプラズマに対するIgMというタイプの抗体を迅速に検出する検査が可能で便利だったのですが、一般のクリニックレベルには普及していないと思います。
マイコプラズマ感染症を強く疑った場合には、確定診断できなくても、これを抑えることのできるグループの抗菌薬を開始してその効果を確認するというのが一般的です。
最後に感染経路についてですが、肺炎マイコプラズマはせきをしたときに出る飛沫を介して人から人へ伝播していきます。これは「風邪」のウイルスやインフルエンザウイルスの場合と同じです。ですから家族内や学校、施設内などにおける濃厚接触者への感染がよくみられます。特に、小児の感染者から兄弟、両親などへ家族内感染していくことが非常に多いということが多くの医学書に記載されています。お子さんのせきが長びいている場合、親御さんはできるだけマスクをするなどして感染予防を怠らないようにして下さい。
(医師 増田 浩三)
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┃▼┃クリニック情報:休診、お知らせ等
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・年末年始休診 12月29日(水)~1月3日(月)
・最新の医師時間割 http://www.plata-net.com/yoga/schedule.html
急な変更等がある場合がございます。
詳細は、お電話にて確認して頂くと確実です。
(患者様サービス担当 正者忠範)
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