2014/3/28
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┃■┃■┃ 月刊 用賀アーバンクリニック通信 2014年 3月号 ┃■┃■┃
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━━ こんにちは!用賀アーバンクリニックです。 ━━━━━━━━━━━
東京では桜の開花宣言がなされました。
用賀近辺でも少しずつ咲き始めているようです。
ここ数日は暖かく、コートも必要なくなりそうです。さすがに先月のような
大雪にはならないで、明るい春を迎えられそうです。
さて、当院でも、4月から消費税率が改定されることに伴い、
自費診療や予防接種の一部で価格変更を行います。
また、診療報酬の改定が行われるため、窓口でお支払いいただく金額に若干の
変更がある場合がございます。
合わせて、ご理解いただけますようお願い申しあげます。
花粉症の方には少し厳しい季節になりますが、来週からの新年度をいい気分
でスタートできるよう、しっかり準備をしていきたいですね。
栄養コラムに手作りお弁当のお話を書いていただきました。ぜひ、ご参考に
していただければと存じます。
それでは今月の情報をどうぞ!
(患者様サービス担当 正者 忠範)
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┃▼┃INDEX
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─ HOT! Topics ─> 用賀・世田谷近辺の最新疾病状況@2014年3月
─ 栄養コラム ─> 気楽に長続きできるお弁当作り
― 医療コラム ―> コモンな病気ファイルその28 「菊池・藤本病」(その1)
― クリニック情報 ―> 休診、クリニックからのお知らせ等
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┃▼┃HOT! Topics: 用賀・世田谷近辺の最新疾病状況@2014年3月
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寒さの厳しかった冬がようやく終わり、比較的暖かい日が続くようになってきま
したが、インフルエンザの流行がまだ続いています。
今年の流行のピークは2月上旬で、それ以降は減少傾向にありますが、
当院でもいまだに毎日、インフルエンザと診断される患者さんがおられます。
http://idsc.tokyo-eiken.go.jp/assets/flu/2013/Vol16No18.pdf
例年のごとく、シーズン終盤はA型よりもB型インフルエンザと診断されるかたが多い状況です。A型とB型では、臨床症状はほとんど変わりませんが、B型インフルエンザでは、高齢者は微熱にとどまることが多く、二峰性の発熱や遷延性の発熱が多いことが報告されています。
またタミフルやリレンザなどの抗インフルエンザ薬を使用した後の平均解熱時間
がA型より少し遅れ、1日半から2日程かかることも特徴です。
あまり熱が高くなくても、節々の痛みや倦怠感が強い場合はインフルエンザの可
能性があります。
もうすぐ4月となりますが、まだまだ油断の出来ない状況です。
さて、先月号のメルマガでも報告しましたが海外流行している型の麻しん(はしか)が増えてきています。中国やフィリピンなど東アジア、東南アジア諸国からの帰国後に麻しんと診断されるケースが多い状況です。
麻しんは麻しんウイルスを原因とする感染症で、高熱と赤い発疹が全身に広がることが特徴です。10〜12日間の潜伏期間後、38度程度の発熱や風邪症状が2,3日続き、その後39度以上の高熱とともに赤い発疹が出現します。
肺炎や脳炎といった重い合併症をきたすこともあり、命にかかわることもある怖い病気のひとつです。
特別な治療法はなく、対症療法が中心になるために、ワクチンによる予防が非常に重要です。
現在、1歳時と小学校入学前の2回のワクチン接種がMRワクチン(はしかと風疹の混合ワクチン)として公的にされています。
遅れることなく速やかに、ワクチン接種を済ませておくことが重要です。
成人の場合も、これまで麻しんに罹患したことがなく一度もワクチンを接種して
いない人は、ワクチン接種が強く勧められます。
また、1回ワクチンを接種していても接種後10年以上経過している場合は、
免疫が低下している恐れがあり、2回目の接種が勧められます。
ご心配なかたは医師にご相談下さい。
(院長 田中 勝巳)
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┃▼┃栄養コラム:気楽に長続きできるお弁当作り
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4月からの新学期を迎えお弁当作りが始まる方、消費税8%アップに備えてお弁当
持参を考えている方も多いのではないでしょうか?
お弁当作りは朝が忙しい、献立が決まらない、マンネリになる等、大変な面も
確かにありますが、手作り弁当はご飯やおかずの量が調節できるため健康管理が
しやすく、また肥満防止にもなります。
味付けも工夫次第で外食よりも塩分控えめにできるなど高血圧予防にも役立ちます。
また、外食に出る時間や弁当を買いに行く手間が省け昼休みが有効に使える、
食事代が安くでき経済的など利点も数多くあります。
是非、お弁当の良さを知って積極的に工夫して楽しみ、
ご家族やご自身の健康に役立てていただきたいと思います。
今回は健康的なお弁当作りのヒントをお伝えします。
お弁当も普段の食事同様バランスが大切です。
ご飯やパンなどの主食と肉・魚・卵・豆腐のおかず、そして野菜のおかずの三種類が入るようにしたいものです。そのためにもお弁当箱のスペースを確認しうまく利用しましょう。
二段の弁当箱なら一段目はご飯、二段目の半分は肉・魚・卵、もう半分は野菜のおかずを入れるとバランスが取れる目安になります。
体重が気になる方はご飯の量は減らしてもおかずは減らさないようにしましょう。
おにぎりと唐揚げだけ、パンとウインナーだけにならいようにスティック野菜や
茹で野菜を添える習慣をつけましょう。
お弁当を手軽に安く作るには前夜のおかずを利用するのが一番の方法ですが、
残りのおかずをそのまま詰めるのではランチの楽しみも半減します。
うまくアレンジしてお弁当に活用しましょう。
たとえば、昨晩の唐揚げをざく切りの玉ねぎやシメジと麺つゆで煮て卵とじに、
また、にんじん、玉ねぎ、ピーマンなど切った野菜と一緒にすし酢に漬ければ
南蛮漬け風になります。
野菜やきのこ、糸こんにゃくなどを足してボリュームを出すのがポイントです。
残った煮物やカレー、炒め物は春巻きの皮で包んだり、油抜きし二つに切った
油揚げに入れてトースターで焼けば目先も変わり食べやすくなります。
次のステップとして、前の晩の夕食作りの時にお弁当用の食材を取り分けて
しまう方法があります。
たとえば、しょうが焼きの豚肉や焼き魚やムニエルの魚は、味付けや香りを
アレンジします。マヨネーズやスライスチーズを乗せて焼けば栄養価も高くなり、育ち盛りのお子様にぴったりです。
レモンや七味唐辛子、すりゴマ、しそ、のり等を使えば、更に調味料を加える
必要も無く減塩できます。お弁当のおかずは味付けがしっかりしているほうが
美味しい為、塩分が多くなりがちです。調味料を重ねて味付けが濃くならない
ように注意しましょう。
また、汁気があるおかずは味が混ざったり、傷みやすくなります。汁気のある
煮物などはパック入りの鰹節でからめると風味が良くさめても冷めても美味しく
食べられます。
また、ご家族のためにお弁当作りを始めた方にはご自身のためにもお弁当を作っておきご家族と同じ時間くらいに召し上がることをお勧めします。
作ってから時間がたった状態を食べることによって量や味付けはちょうど良いか、汁が出ていないか、冷めて食べにくい食材は無いか等がわかります。
そして今頃同じお弁当を食べているのだなあと家族に思いを馳せる事もできます。
主婦(夫)のお昼ごはんは友人との外食で高脂肪・高エネルギーになる時があったり、逆に菓子パンや朝の残りで簡単に済ませエネルギー不足、栄養不足に陥っている場合もあります。
ご自分のための野菜たっぷりの手作り弁当でリセットしてみませんか?
最後に、手作り弁当を長続きさせるコツは完璧を目指さないことです。
冷凍食品や缶詰、魚肉ソーセージ、ミニトマトで弁当箱の隙間を埋めるのも良い
でしょう。
たまにはお弁当を買ってもらったり外食にしてもらうことで作り手はリフレッシュできますし、食べ手は手作り弁当の良さを再確認できます。
また、お弁当を食べる人がおかずを詰める、持ち帰った弁当箱は自分で洗うなど
お弁当作りに参加する事で、食事や栄養に興味を持ちお弁当を買う時や外食の際
のメニュー選びの意識に変化が出る事も期待できます。
年度がわりのこの時期は新しいことを始めるにとても良い機会ですので
ご家族全員の健康を目指して、気負わず気楽に弁当作りを始め、
長続きさせていきましょう。
(管理栄養士 鈴木 今日子)
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┃▼┃医療コラム:コモンな病気ファイルその27 「菊池・藤本病」(その1)
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今回から数回にわたって新しいテーマ 「菊池・藤本病」を取り上げていきます。
おそらく多くの方が聞いたことのない病名だと思いますが、
医療従事者でもそれほど知られた病名ではありませんので当然かもしれません。
別名として、「菊池病」、「亜急性壊死性リンパ節炎」、「組織球性壊死性リンパ節炎」といった病名もよく使われます。海外の文献でも「Kikuchi-Fujimoto disease」、「Kikuchi’s disease」として扱われており、日本人の名前を冠する病名で世界的に通用する数少ない例の一つと言えます。
ちなみに、日本人名を冠した病名で海外でも一般に用いられているものとしては、橋本病(慢性甲状腺炎)、高安病(大動脈炎症候群)、川崎病(皮膚粘膜リンパ節症候群)などが有名ですが、是非この「菊池-藤本病」あるいは「菊池病」という病名も記憶にとどめておいてください。
このリンパ節炎は欧米ではまれな疾患として扱われていますが、我が国をはじめ
東アジアではめずらしくない疾患ですので、かねてから是非ご紹介したいと思っていました。
当疾患は頸部リンパ節の腫れを主な症状とするため、当院のように血液内科を標榜しているクリニックでは特に多く経験しますが、一般内科、耳鼻咽喉科、外科などでもよく知っておいてほしい疾患です。
さて、そもそもこのリンパ節炎がなぜ「菊池病」とか「菊池・藤本病」と呼ばれるようになったのでしょうか。 私が調べた範囲内での話ではありますが、当疾患についての学会や学術集会への発表は、1972年2月に藤本吉秀先生(当時東京大学第二外科)らが「第674回外科集談会(東京エリアの若手外科医師の登竜門的な研究会)」で行われたのが先であったようです。
少しおくれて同1972年4月の「第34回日本血液学会総会」にて菊池昌弘先生(当時九州大学第二病理)がこの疾患についての発表を行い、この学会の会議録・抄録号が数ヶ月後に発行され、このなかに掲載された会議録が現在この疾患についての最初の報告として世界的に認識されています。
一方、菊池先生の学会会議録の発行から少しおくれて、藤本先生らも同1972年の暮れに、「臨床雑誌 内科」(南江堂より出版されている医学商業誌)に新しい病態の提唱として論文を発表されました。
菊池先生の会議録、藤本先生らの論文はともに英文抄録のない、日本語のみの発表であり、しかも菊池先生の報告は一般的な論文形式ではなく、学会発表の会議録でしかなかったわけで、この段階では世界的な注目を受けるはずがなく、実際この両文献はともにPubMedという世界的な医学文献データベースで検索してもヒットしません。
それでも藤本先生らの論文は、学会誌ではなく、医学商業誌への発表ではありましたが、その内容はちゃんとした論文形式になっていますし、現在も通用する当疾患の臨床的および病理学的特徴をおおむね正確に報告しており、そう考えると「藤本病」とか「藤本・菊池病」でもおかしくなかったのに、と思ってしまいます。
ではなぜ、世界的に「Kikuchi’s disease」 として認知されるようになったのでしょうか?
菊池昌弘先生は1973年に若干39歳で福岡大学の病理学教授に就任され、
2012年に逝去されましたが、日本病理学会のホームページに掲載された追悼文のなかにその答えが述べられていました。
菊池先生は、それまで報告のなかったこの壊死性リンパ節炎が欧米でも存在するのかを確かめるために、1979年に自身がかつて留学して師事していた、ドイツのキール大学のレンネルト(Lennert)教授を再び訪れて、同大学内の膨大な数のリンパ節標本を再検討し、ドイツでも同様のリンパ節炎が存在することを確認しました。
レンネルト教授は血液病理学、特にリンパ腫病理の泰斗であり、「レンネルトリンパ腫」というリンパ腫の一種にも名前が残っているほどの方なのですがそのレンネルト教授がこの研究成果を非常に高く評価し、その後の学会などでこのリンパ節炎を「菊池病(Kikuchi’s disease)」という名称を用いて紹介しました。
これが契機となって、欧米でこの病名が急速に広まり、世界的に知られるようになったのです。
この稿の最後に、「菊池・藤本病」=「亜急性壊死性リンパ節炎」の特徴を以下に列記してみます。
1)病因はいまだに不明のままである。
2)比較的若年の女性に好発する。
3)欧米ではまれだが、東アジアでは多い。
4)頸部リンパ節腫脹がほぼ全例にみられる。
5)発熱は伴うこともあれば、伴わないこともある。
6)血液検査は参考にはなるが、特に異常所見のないことも多い。
7)画像検査は参考にはなるが、特異的な所見はない。
8)確定診断にはリンパ節生検が必要
9)リンパ節の病理組織学的所見は特徴的
10)特異的な治療はなく、対症療法が中心となる。
11)予後は極めて良好で、1~4ヵ月以内に自然治癒することが多い
12)再発例もあるが、多くはない。
これらの特徴を含め次回から数回に分けてご紹介していきます。
(副院長 増田 浩三)
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┃▼┃クリニック情報:休診、お知らせ等
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・急な変更等がある場合もございます。
ホームページのニュース欄にも記載は致しますが、
詳細は、お電話にて確認して頂くと確実です。
(患者様サービス担当 正者 忠範)
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━━ この用賀アーバンクリニック通信について ━━━━━━━━━━━━
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