COLUMN

管理栄養士の栄養コラム

『「昼食は軽く」の落とし穴』

2020.02.27

栄養相談では、食事の状況を必ずお尋ねしています。
その中で多い回答に「昼は軽くしている」があります。軽くの中身は『パンと果物もしくは野菜ジュース』、『そばやうどん』、『おにぎりだけ』、『サンドイッチ』『カップラーメン』『はるさめスープ』が多く、炭水化物が中心で、体の材料となるたんぱく質や脂質、ビタミン、ミネラル等の必要栄養量は不足しています。中には、やせたいためにカロリーを減らす目的でだけメニューを選び、肉魚などを避けている方も多く見受けられます。

1日を朝から昼、昼から夜、夜から朝の三等分で考えたとき、どの時間に活動するエネルギーが一番多く必要で、どの時間の身体活動が一番少ないでしょうか?

ほとんどの方は、明るい時間帯はよく動き、夜から朝の活動量は最も少ないと思います。
夕食は昼間の疲労の回復に必要な栄養量は必要ですが、たくさん食べれば、消化に時間がかかり、睡眠の質は低下し、その結果、朝の食欲は低下しやすくなります。そうなると栄養量が必要な、1日のスタートにしっかり食べられません。それで、昼食まで軽くするとますます栄養不足となります。

栄養量が足りないと、「体にとって毎日必要な体の作り替えのための材料が足りない」
ということなので体の持つ本来の働きが十分ではなくなります。それは、脳や心臓などの内臓の働き、ホルモンや骨、成長発達、免疫力にも影響します。必要な栄養が摂れないために、代謝が低下し、余分な脂肪もためやすく、便秘や肌荒れ、脱毛、体力や気力の低下、血糖や血圧、コレステロールの上昇の原因にもなります。

また、ダイエットがうまくいかない方に多いのは、昼を軽くすると「小腹がすいて」、「ちょっとだけ」と日中のお菓子が増えたり、夕食量が増えてしまうことです。

体の食事からの影響は、食べるタイミングによって違うことが分かってきています。
体内時計に合わせて分けて食べることのメリットを活用した方が、生活習慣病が改善することがすでに実証されています。お腹が空かなくて、昼食を軽くしか食べられない方は、胃腸など消化器やストレスでの問題、老化現象でもおきますが、何か他にも原因があるかもしれません。ずっと食欲がなく、体重が減ってきているようであれば、医師にご相談ください。

食べると眠くなるなどデメリットを感じている方もいらっしゃいますが、体は食べ物で作られているので、分食(間食)で少しでも補うことをおすすめします。

昼食こそ、軽くせず、肉魚などをしっかり食べられる胃腸とそれを食べられる時間を確保し、健康な体づくりをしたいものです。

(管理栄養士 蛯原啓子)

栄養コラム一覧へ
ページの先頭へ戻る