COLUMN

管理栄養士の栄養コラム

知らずに食べているキムチの砂糖

2021.04.27

栄養相談では、朝食がパン食という方が増えたことや、減塩が必要という意識からか漬物を食べる方がすっかり減っていましたが、コロナ禍で、健康に関心がある人ほど、納豆にキムチを入れて食べている方が増えてきました。腸内環境をよくするなどの健康効果が広く知れ渡り、新型コロナ感染症への効果を期待してというのがその理由です。スーパーでも、売り場面積が広くなっていることからもその摂取量の増加を知ることができます。

ごはんのお供になる漬物は、野菜のうまみと塩味が食欲をそそります。しかし、私たちはおいしいと感じるとき、甘味は塩味と同様、重要な味のバランスを決める要素となります。甘味のある漬物は、塩味がまろやかになり、食欲をそそるおいしさとなって味を楽しむことができるので、多くの漬物に甘味が活用されています。

キムチを食べる頻度や量をお尋ねすると「塩分が多いから良くないとは思っているのですが」と塩分は気にされるのですが、砂糖が入っていることを気にしている方はほとんどいらっしゃいません。自宅の冷蔵庫にあるキムチ、是非確認してみてください。スーパーなどで売られているキムチは、味付けに『砂糖』『水あめ』『果糖ブドウ糖液糖』などが使われています。

容器の栄養成分表示を確認すると、炭水化物の量は100gあたり6~12gと様々です。
1回に食べる量が、小皿中央に盛るくらいだと約30gなので、炭水化物は約3~5gくらいは摂ることになります。炭水化物とは、食物繊維と糖質をあわせたもののことを指します。白菜やリンゴ果汁など食材にも含まれるので、使われている砂糖や水あめの分量だけを示しているわけではありません。

3gの糖質というのはコーヒーなどに使うステックシュガー1本分の量です。
コーヒーをブラックで飲んでいても、キムチでシュガー1本分の糖をとれば、摂っている糖質量は微糖のコーヒーと同じということになります。

砂糖はおいしさ以外にも、しっとりさせたりきれいな茶色にしたり、保存効果を高めるなど製造上で利用しているということもあります。また、砂糖の分、カロリーも高くなるので、塩漬けの白菜漬は30gあたり6~10kcalですが、キムチは30gあたり10~20kcalと高くなります。キムチよりずっと糖質が多い漬物には、奈良漬け(30gあたり65kcal糖質11g)や福神漬け(30gあたり40kcal糖質9g)があります。

購入するときには材料や食品表示をよく確認して購入したり、一緒に食べる食品の塩分や糖分とのバランスを見たりして、1回に食べる量を少なくするなど工夫をして楽しむことをおすすめします。

(管理栄養士 蛯原 啓子)

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