COLUMN

管理栄養士の栄養コラム

気になるプリン体と食事

2021.10.30

尿酸値が高い場合『プリン体の多い食品を減らす』と『水をよく飲む』は検査値の改善にすすめられている食事療法です。プリン体とは、元々細胞の中にあり、生命活動に必要なものなので、私たちの体内でも作られて、肝臓で代謝されると尿酸となって排泄されます。体内で作られる量がほとんどで、食事からの方が少ないのですが、その両方をあわせたプリン体の量に対して、排泄する量のバランスが悪くなると尿酸値が上がってくるので食事からの対策も有効というわけです。

プリン体を、ひと皿で食べる量で比較すると、鶏卵、牛乳にはほとんど含まれず、肉、魚の内臓、魚の干物などが最も多く含まれているので、レバーやイワシの丸干しなどは注意が必要です。野菜は含まれている量は少ないので、毎食1.2皿摂取しても問題ありません。注意してほしいことは、通常よく食べている肉や魚は、野菜に比べると多く含まれているので、レバーを食べなくても焼き肉や海鮮料理をたくさん食べると、プリン体の摂取量は多くなるということです。バイキングや大皿盛りは特に過剰になりやすいので、できるだけ一人前ずつ盛り付けた食事の方がおすすめです。自宅の場合、プリン体は水に溶けやすい性質を持つため、調理の工夫で、必要なたんぱく質を確保しつつ、プリン体の量を減らすことができます。

一番効果的に減らす方法としては、肉や魚をゆでることです。

ゆでる過程でプリン体がお湯に溶けだします。ゆでてから、炒めたり、焼いたりするとプリン体を減らして食べることができます。ですから、注意したいのは、煮出したスープです。煮干しや豚骨、鶏骨を煮込んだスープには、プリン体が溶けだしているので、形がなくても摂取することになります。

寒くなってくると飲み干してしまいがちなラーメンのスープや、鍋料理の後の雑炊などは、プリン体だけでなく塩分や脂肪分も多くとることになるので、スープは飲み干さないで半分残すことを日頃から心がけておきたいものです。

水分は『1日2L目標』と言われている方も多いと思いますが、これは排泄量を増やすためです。肥満のある方は、肥満であることが排泄されにくい状況をつくっていますので、空腹時や飲酒時はまずは水分補給を増やし、運動量も増やして、肥満を解消していきましょう。

排泄をよくするものとして最近ではビタミンC摂取の効果も発表されています。しかし、ビタミンCの多い果物に含まれている果糖は尿酸値を上げる働きがあるので、果汁100%のジュースでの水分補給は避け、甘くないお茶や水での水分補給をおすすめします。

そして、食事とともに対策が必要なことはアルコールです。プリン体カットでもアルコールそのものに影響があります。ノンアルコールを利用し、飲酒の量や頻度の見直しも尿酸値改善の近道です。緊急事態宣言が解除され、徐々に外での飲食も増えている方もいらっしゃるかと思いますが、自覚症状がなくても尿酸値が高いことは体からの警告です。

食べ過ぎにはどうぞ注意してお楽しみください。

(管理栄養士 蛯原 啓子)

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