COLUMN
管理栄養士の栄養コラム
正月太りを解消するときに注意したいこと
2021.12.28
年末年始は1年の中でも体重が増加しやすいものです。この時期に太ったわずか2㎏が1年間戻せずにいたら、5年経つと10㎏にもなります。年末年始に増えた体重は1月中には解決したいものですが、その時に食事で注意したいことがあります。
それは、食事は1日単位のカロリーで考えるのではなく1食単位の栄養バランスで考えることです。
食事は1日が低カロリーであることが大切なのではありません。
1日のカロリーが低いだけでは、1食ごとの栄養バランスが悪いと痩せても健康を害することもあります。
栄養相談には、サラダやモズクだけ食べたり、お酒だけは飲みたいので、ごはんやおかずを減らしたりして減量したことのある方がよく来られます。しかし、体重という数字だけに着目していると、栄養不足でやせているので体調や体力、検査値に問題がでてくることもあります。特に、アルコールは栄養吸収を阻害する上に、ビタミンやミネラルを尿に排出しやすくしているので、自覚症状がなくても身体に影響を及ぼしています。
私達の身体は、糖質をエネルギーにしながら、肉・魚・卵、大豆製品、乳製品等に多く含まれるたんぱく質が、筋肉や心臓や脳、血液などの材料となり、酵素やホルモンや栄養の運搬など、生命活動を行っています。
特にたんぱく質は身体に貯めておくことができないので、不足すると検査値に異常が見られない人でも疲れやすくなったり、やる気や集中力が低下したり、よく眠れなくなったりと不調を抱える原因を作ります。ましてやこのコロナ禍では、免疫に必要な栄養素が不足することになってしまうので、決して不足させないように3食まんべんなくとることが大切です。また、栄養不足でやせると筋肉が減るので、じっとしていても消費しにくくなり、リバウンドの原因にもなります。
私達の身体は、あらゆる食品が持つ栄養素の組み合わせでエネルギーを作って、身体に取り込み、いらないものを出すという仕組みになっています。不足した栄養素があることで、身体に効率よく吸収されなければ、せっかく食べたものも無駄になったり、肝臓の負担を増やしたりすることになります。
主食である炭水化物を摂らないことだけでやせようとするのではなく、炭水化物がエネルギーとして燃えやすくなるように肉・魚・卵・豆腐などのメインのおかずと野菜を組み合わせることで、食べたものが有効に使われ身体を整えることができます。この時、夜は体脂肪が合成されやすいので、夕食のボリュームが3食のなかで一番多くならないようにすることがポイントです。多めのごはんやおかずは翌朝か昼に回すと寝ている間の胃腸の負担を減らせるので、質の良い睡眠がとれます。
今年もあとわずかです。
今年は、身体にやさしい食事で締めくくってみませんか?
年末年始の体重増加の上昇スピードを少し緩めることができるかもしれません。
(管理栄養士 蛯原 啓子)