COLUMN
管理栄養士の栄養コラム
のどの渇きと砂糖
2022.08.30
のどの渇きは、汗をたくさんかいた時や塩辛いものを食べた時だけでなく、あんこなどの甘いものを食べたときも感じ、水が欲しくなりますね。
暑い日は特に欠かせない水分補給、今回は、のどの渇きと砂糖についてお伝えします。
私たちの身体は、血液にたくさん糖が入ってくる(=血糖値が上がる)とそれを薄めようとして水が欲しくなるため、のどの渇きを感じます。砂糖は、溶かして冷やすと甘さを感じにくくなります。乳酸菌飲料やコーラなどの清涼飲料水を室温に置いておくと甘ったるく感じますね。
コーヒーカップ1杯に、1本3gのステックシュガーを、3~5本入れて飲むことはあまりないと思いますが、乳酸菌飲料やコーラは、わずかコップ半分(100ml)ほどで、3~5本分の糖分を含んでいるので、飲んだ後はのどが渇くのです。
熱中症を心配して、スポーツドリンクで水分補給している方も、500ml飲むとステックシュガー約10本(30g)くらいになるので、注意が必要です。
運動中でのスポーツドリンク補給は、大量の汗で出ていく塩分など不足するミネラルが補給でき、糖分があることで吸収のスピードが早くなり、エネルギーにもなるので有効です。
しかし、激しい運動やたくさんの発汗もなしで、3食の食事もとれているのに、水分補給に飲むと、糖が多すぎて、かえって、のどが渇き、余った糖のエネルギーは脂肪になって蓄えられます。
スポーツをしない場合のスポーツドリンクは、下痢や嘔吐、食事がとれていない場合は大いに活用し、普段の水分補給には、お茶や麦茶、水など糖分を含まないもので補給することをおすすめします。
また、果物のジュースは、スポーツドリンクよりさらに糖分が多く、コップ1杯でステックシュガー5~10本くらいになるので、のどが渇きやすくなります。甘いものの中でもアイスクリームは食べているときはさっぱりしても、食べ終わってしばらくするとのどが渇いてきませんか?アイスクリームは、もともと液体を凍らせているので、血液に糖が入るスピードは飲み物とあまり変わりません。
3gのステックシュガー1本でアイスクリームの糖分を表すと、
- 棒付きで6~8本
- カップ入りで7~10本
- ソフトクリームで10~13本
になります。
それだけの糖分が一気に体に入るので、のどが渇き、水が欲しくなるのです。『糖』は『水』と深い関係にあります。「糖尿病かも?」と疑われる症状の一つに『異常なのどの渇きや多尿』があります。
血液中の糖が多すぎる(血糖値が高すぎる)と、糖を尿としてどんどん排出するため水分がたくさん必要になります。そのため、異常な のどの渇きが起こって、多尿になるわけです。トイレの回数を減らしたい夜間や長時間の乗り物に乗るときは、甘いものを控えておくと、のどの渇きが少なくなるので、余分に水分をとらなくなります。
ただし、高齢者はのどの渇きを感じにくく、脱水になりやすいのでどんな時もこまめに水分補給することが大切です。
(管理栄養士 蛯原 啓子)