COLUMN

管理栄養士の栄養コラム

「食事の温度と舌の感覚」

2019.07.27

暑い夏は、冷たいものが美味しく感じますね。

舌で感じる味は、同じ味でも温度によっても感じ方が違います。
例えば、温かいとおいしいみそ汁が冷めると濃く感じる、あるいは、アイスクリームや ジュースが甘さ控えめだと思っていたら、ぬるくなると甘ったるい感じが口に残って しまった経験はありませんか?

塩分や糖分など、多く摂り過ぎないためには、その感じ方を利用することで、 おいしく感じながら健康に配慮した食生活を送ることができます。

塩分は、汗をかく夏には重要と言われますが、通常の食事(主食と味のついたおかず や汁もの)を1日3回食べられている方には、スポーツや熱い環境下で活動をする方 以外で不足になることはめったにありません。
むしろ摂り過ぎることで、動脈硬化の原因になったり腎臓や心臓の病気を悪化させる 原因になることもあります。

塩味は、冷えている方が強く感じるので、温度差を利用して少なめに慣れてみませんか? 味覚は、ある程度『慣れ』が必要です。
早食いになっている方は、塩味が口の中に広がる時間も短いので食事をゆっくり食べる ことで、塩味を感じる時間も増えて減塩につながるだけでなく食べ過ぎ予防や 胃に優しい食事の仕方になります。
ゆっくり食べるとみそ汁やおかずもやや温度を冷まして食べることになりますので、 いつもの塩分よりも控えめでも満足し、初めは物足りなくても慣れてきます。

味付けはやや薄めにして、物足りなければ、生姜やこしょう、一味などの香辛料で アレンジしてみましょう。
卵焼きやコロッケに必ず調味料をかける方は、まずは一旦味をみて、味がなんとなく薄味 だなあと思ってもしばらく良くかんでみると素材の旨みがじわっとわかってきます。

ただし、年齢とともに塩味は感じにくくなり、60代以降になると20~30代の数倍味覚が 鈍くなるといわれています。
「味がしない」とすぐに調味料で味を付け足すのではなく味の濃いものと薄いものを 取り混ぜて食べるなど、若いうちから塩分少なめで食べることに慣れておくことも 健康でいるための食習慣になります。

デザートや飲み物は思った以上に砂糖が使われています。
例えばコーヒーゼリーはコーヒーの苦味で、ヨーグルトは酸っぱさで冷えていると甘さを 感じにくくなります。
食事量が減ってきている高齢者や、1回にたくさん食べられない方には砂糖のカロリー (エネルギー量)は大変貴重です。

しかし、中性脂肪や血糖値が高い方、減量の必要がある方は、冷たくて食べやすいもの が常に冷蔵庫、冷凍庫に入っていると検査値は改善しにくく、夏太りの原因にもなります。

夏は、冷たいものが増えますが、味は自分の舌だけに頼らず、 温度の違いもあることをちょっと頭の片隅に置いて食事をすることをおすすめします。

(管理栄養士  蛯原啓子)

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