COLUMN

管理栄養士の栄養コラム

「お腹の調子が悪いときの基本の食べ方」

2019.06.25

暑くなってくると、寝冷えや夏風邪、食あたりで急にお腹の調子が悪くなることがあります。
そんな時に食べるものは、『消化のいいもの』が良いとわかっていても何を食べればいい のか困ってしまうという話をよく聞きます。

そこで今回は、お腹の調子が悪いときの基本の食べ方についてお伝えします。

お腹の調子が悪いときは、胃腸への刺激を減らし、消化にかかる時間が短くなる食事 にすることが一番です。
病状が悪化したとき、病院ではブトウ糖や生理食塩水が点滴に使われます。
それは糖分と塩分は私たちが生きる上でもっとも大切なものだからです。
食事からとる三大栄養素には、炭水化物、たんぱく質、脂質があります。
この中で一番短時間で消化吸収されるのは炭水化物に含まれる糖質です。
炭水化物とは糖質と食物繊維を足したもののことで、食物繊維はヒトの消化酵素で 消化されないものです。ですから糖質が一番負担をかけないものとなります。
また、体の塩分は、汗や尿、便からも出て行きますから、 1日に最低限みそ汁1杯分くらいの塩分(約1.2~1.5g)は必要です。

つまり、お腹にやさしい食事の基本は『糖分』と『塩分』を水分とともに摂ることです。

米(おかゆ・ごはん)とみそ汁の汁だけとかうどん、そうめん(汁に塩分あり)、 外出先などであれば、ゼリー飲料(糖質だけのもの)とスポーツ飲料(もしくは経口補水液) のような組み合わせです。

私たちの体は大人は約60%、子どもだと約70%は水分でできています。
糖質と塩分と水分を体温を急に下げないようにゆっくり摂取して、お腹が大丈夫なら、 次のステップの栄養摂取に進みましょう。

次のステップとは、良質なたんぱく質など栄養価の高いものを足すことです。
一番おすすめしたい食品は卵です。卵は良質なたんぱく質や多種のビタミンも摂れ、値段も 手軽な食品です。但し、卵はその調理法によって大きな差があり、半熟卵(温泉卵)が一番 消化時間が短く、次にゆで卵で、生卵、目玉焼きや卵焼きの順で、油を使うと消化に時間が かかるようになります。

温泉卵の作り方は沸騰したお湯に火を止めて約10分置くだけですが、最近、安価で売られ ています。まずは、ポトンとおかゆやみそ汁に足すことから始めましょう。
下痢があっても痛みがないと栄養不足を心配し、消化が良いと言われる鶏肉や乳製品など 食べがちです。しかし、まずは基本でお腹を休めてから、便の調子をみて、少しずつゆっくり 食べ始める方が、実は回復への近道になります。

腸は、栄養を吸収してくれる場所です。 氷を入れるなどした冷たい水分による冷やし過ぎは、大事な栄養の吸収量を減らします。 栄養不足は疲れやすく夏風邪をひく原因にもなるので注意しましょう。
(治療を開始している場合は医師の指示に従ってください。)

(管理栄養士  蛯原啓子)

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