COLUMN
管理栄養士の栄養コラム
「あわてないで!からだにイイ食べ物情報」
2019.02.27
テレビでは毎日のように健康番組が放送され、『○○を食べると身体に良い』 という情報が飛び交っています。栄養相談に来られる方のなかには、 健康を気遣うあまり、話題の食品の摂取に熱心になって、予想外の残念な結果 をまねいている方がいらっしゃいます。
健康番組などで紹介される情報の中には、管理栄養士の立場からは 「まあ、間違いではないけれど、その伝え方は勘違いしてしまうのでは」と 心配になってしまうことがあります。
良くあるのは、
「○○より△△の方が、●●の栄養が10倍も含まれます」
「◎◎の成分ランキング1位です」
というような内容です。
この時、栄養価の比較には100gあたりの量が使われることが一般的です。
しかし、1回で食べる量には食品によって大きな差があり、水分量が違う ものとの比較なども勘違いしやすくなります。
例えば、おでんの大根1個や小みかん1個(約100g)や牛乳の100ml(コップ 約半分)は簡単にとれますが、乾燥したわかめや、ひじき、切り干し大根の ようなものは、1回に100gも食べるとなれば、大きい鍋一杯になってしま います。また、パセリや青しそ、生姜なども、少しあると美味しいものです が、1回で100gも出されたら多くの人が「こんなには食べない」という量です。
その他にも同じ100gで比較していてもココア100gや抹茶100gだと、 実際にはココアは砂糖なしには飲めなかったり、 濃さによって違いがでるので粉末の効果の比較だけで飛びつくと 期待はずれになることもあります。
購入時に比較するときに便利なものとして食品表示があります。
食品表示がある場合、
『100gあたり』なのか『1袋あたり』『1本あたり』
なのかを見て、
「1回で食べる(もしくは飲む)量ではどうかな?」
とちょっと確認してみましょう。
食品表示は多いものから順に記載する決まりになっています。
例えば、抹茶よりも砂糖が先に書いてあれば、その1つで砂糖を抹茶より 多く摂るので、抹茶の効果もあるかもしれませんが、砂糖の影響も強く 受けるので、血糖や減量が気になる方は冷静な選択が必要です。
身体に良いものは食べておくと安心かなと思いがちです。
しかし、足りないことは問題になることがありますが、 多く摂取するほど体に良いというわけではありません。
『食品を食べる』ということは、その話題の成分だけでなく、 その他の成分も食べることであり、即効性のある薬のような効果が すぐあらわれることはまずありません。
健康に関心が高い人ほど、話題の食品をすぐ取り入れがちですが、 一旦冷静になって、どんな基準で比較しているのかなと、クイズ番組を観る気分で、落ち着いて楽しんでいただくことをお勧めいたします。
(管理栄養士 蛯原啓子)