2012/3/28
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┃■┃■┃ 月刊 用賀アーバンクリニック通信 2012年 3月号 ┃■┃■┃
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━━ こんにちは!用賀アーバンクリニックです。 ━━━━━━━━━━━
今年は寒かった影響もあり、桜の開花が遅れているようです。
例年だと卒業式には桜が咲いているようですが、今年は入学式のようですね。
長く待った分、いつもよりも綺麗に咲いてくれるのかもしれませんね。
開花宣言を楽しみに待ちたいと思います。
いよいよ4月。新しい生活が始まる方もおられることと思います。
体調を崩しやすい時期でもありますので、どうぞご自愛下さい。少しでも
おかしいな、と感じたら早めの受診をお勧め致します。
まだまだインフルエンザの流行は続いているようです。
詳しくはHOT! Topicsをご覧下さい。
栄養コラムではお肉を美味しく食べる方法をご紹介しております。お花見の
お料理の参考にされては如何でしょうか。
それでは、今月の情報をどうぞ!
(患者様サービス担当 正者 忠範)
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┃▼┃INDEX
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─ HOT! Topics ─> 用賀・世田谷近辺の最新疾病状況@2012年3月
─ 栄養コラム ─> 「脂肪が少なめのお肉を美味しく食べる方法」
─ 医療コラム ─> コモンな病気ファイル その16:「大球性貧血」
― クリニック情報 ―> 休診、クリニックからのお知らせ等
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┃▼┃HOT! Topics: 用賀・世田谷近辺の最新疾病状況@2012年3月
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1月下旬から2月上旬にかけて大流行していたインフルエンザですが、流行のピークは過ぎ減少傾向にはありますが、まだ流行は終息していません。
当院でも新規にインフルエンザと診断される患者さんが毎日おられますので、十分注意していきましょう。ウイルスの型別でみると、B型のインフルエンザが増えてきており、A香港型と同じ割合になってきているようです。
3年前に新型インフルエンザとして騒がれたA型H1N1は今シーズンほとんどみられていないようです。以下のページをご参考にしてください。
http://idsc.tokyo-eiken.go.jp/inf/2011/Vol14No15.pdf
さて、みなさんは「ヘモグロビンA1c」という検査項目をご存じでしょうか。
その「ヘモグロビンA1c」が、この4月から日本全国で表記方法が変更となります。
糖尿病の患者さんや毎年健診を受けておられるかたにはおなじみかもしれませんが、「ヘモグロビンA1c」は、現時点より過去1〜2ヶ月間の平均血糖値を反映する指標とされています。
血糖値と違い、食事の影響を受けないため食前・食後を問わずいつでも検査することができるのが特徴で、この値が4.3%から5.8%までが適正とされており、数値が大きければ大きいほど血糖コントロールが悪いという解釈となります。
糖尿病の患者さんはこの「ヘモグロビンA1c」が6.5%未満にコントロールされていると、網膜症や腎症、神経症といった合併症になるリスクが軽減されることが知られています。
その「ヘモグロビンA1c」ですが、これまで日本で用いられてきた「JDS値」から国際基準である「NGSP値」での表記に変更となります。
この二つの値は測定方法が違うため、これまでの日本独自の測定方法(JDS値)では国際基準(NGSP)より0.4ポイントほど低くでる傾向があり、これまで糖尿病でかかっていた患者さんにとっては同じコントロール状況でも、4月からヘモグロビンA1cが0.4%ほど高い値となってしまうわけです。経時的に「ヘモグロビンA1c」で血糖のコントロール状況をみていた患者さんにとっては若干の混乱が予想されます。
それなら、なぜ日本も最初から国際基準の測定方法でしてこなかったのかと思いたくなりますね・・・。
いずれにせよ、この4月からは、このあたりのご説明をさせていただくことになるかと思いますので、このメルマガをお読みの皆様は先行してお知りおき下さい。
(院長 田中 勝巳)
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┃▼┃栄養コラム:「脂肪が少なめのお肉を美味しく食べる方法」
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最近は、ダイエットに関する料理本がたくさん出ており、どの本を購入しようか
迷ってしまいますね。一冊は購入して作ってみた方も多いのではないでしょうか。
これらの料理本に書かれている調理のコツは、主に4つ。
1)余分な油をカット
2)余分な塩分をカット
3)低カロリーな食材を使う
4)噛む回数を増やすため食材を大き目に切る です。
余分な油や塩分をカットしたり、食材の切り方を変えることは習慣化しやすい
という方は多いようですが、低カロリーな食材ばかりだと飽きてしまうという
話も伺います。
確かに、低カロリーなささみ肉や赤身肉ばかり食べていると、たまには柔らか
くて美味しい霜降り肉も食べたい!と思うこともありますよね。
また、脂肪が少なめのお肉だと固くて食べにくいという方もいらっしゃるので
はないでしょうか。
そこで、今回は、「脂肪が少なめのお肉を美味しく食べる方法」についてご紹介
します。
【1】果物を使って安いお肉を美味しく
果物は、そのまま食べるだけでなく、料理に生かすことができます。
よく知られているのは酢豚に入るパイナップル。
パイナップルに含まれているプロメラインというたんぱく質分解酵素が、お肉を
柔らかくしてくれます。
その他に身近な果物であれば、グリーンキウイにもアクチニジンというたんぱく
質分解酵素の働きで脂肪分が少ないお肉も柔らかくして消化を促進してくれます。
※アクチニジンは、キウイの中でもグリーンキウイに多く含まれている酵素
例えば、もも肉1枚をしょうゆ、酒、おろしたキウイ1/2個と一緒に30分漬けて
おきます。
30分後に漬け汁ごと焼くことで、もも肉が柔らかくなり、プリップリッの食感
が楽しめます。そのまま煮汁を煮詰めてソースとしても美味しく食べられます
ので、是非お試しください。
【2】今、話題の塩麹(しおこうじ)で固いお肉を美味しく
最近、話題の塩麹ですが、食材に含まれるデンプンやタンパク質を分解してうま
味や甘味を引き出す作用があります。また、焼いたり炒めたりすると綺麗な焼き
色や照りもつき、固い牛肉の赤身肉でも柔らかく美味しく食べられます。
但し、もとは米麹に塩と水を混ぜて発酵させたものですので、お肉を柔らかくす
るために、お肉がひたひたに浸かるほど塩糀をたくさん使ったり、漬ける時間を
長くすれば良いという訳ではありません。使い過ぎや漬ける時間が長くなれば、
塩分も摂り過ぎになってしまいます。また、薄いお肉ではすぐに塩分が浸透し、
しょっぱくなり過ぎてしまいますので、固まり肉など厚めのお肉がおすすめです。
【3】脂身のないひき肉を使って美味しく
通常スーパーで販売されているひき肉は、脂身と一緒にひいているため脂肪分が
多く高脂肪になりがちに。出来れば、お肉屋さんに行き、鶏肉であれば「皮と脂
身を取り除いてひいてください。」、豚肉や牛肉であれば「もも肉でひいてくだ
さい。」と注文するのがおすすめです。しかし、脂身が入っていないとうま味が
少なく、パサつきやすいですよね。そこで、脂のうま味やパサつきを別のもので
補う工夫をしてみてはいかがでしょうか。
うま味を出す方法としては、
1)香りのあるもの(しょうがや大葉、ローズマリーなど)をプラスする
2)うま味のあるもの(きのこや昆布、ツナ缶など)をプラスする
3)食感のあるもの(れんこんやごぼうなど)をプラスする などがあります。
パサつきをなくす方法としては、
1)粘りのある食材(すりおろした山芋やれんこんなど)をプラスする
2)小麦粉や片栗粉、卵、パン粉をプラスする などがあります。
これらの方法でハンバーグや肉団子などを作ってみてはいかがでしょうか。
現代の食生活の大きな問題点の一つは、脂肪の摂り過ぎです。
栄養指導をしていると調理に使う炒め油や揚げ油の量に気をつけている方は増え
てきましたが、その反面で食品中に含まれている動物性脂肪(肉の脂身、卵、牛
乳、ヨーグルト、チーズ、バター、パン、洋菓子など)には気づかれていない方
も多くいらっしゃいます。
動物性脂肪のとりすぎは血管を詰まらせる要因にもなります。
今回ご紹介した内容を参考に飽きのこない工夫をすることで、無理なく脂肪を減
らした食生活を実践し、健康的にダイエットをしてみませんか。
(管理栄養士 川島 美由紀)
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┃▼┃医療コラム: コモンな病気ファイル その16:「大球性貧血」
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今回は貧血の分類のなかで「大球性(だいきゅうせい)貧血」といわれるグループの疾患についてご紹介します。
前回までは「小球性貧血」の代表的疾患である「鉄欠乏性貧血」について取り上げてきました。
小球性というのは、「赤血球のサイズが小さい」ことを意味していますが、実際的には血液検査で「MCV(平均赤血球容積)」という値が低下していることで判定します。
MCVの正常値は85~100fl(正球性)で、85fl未満を低下とみなし(小球性)、101fl 以上を上昇とみなします(大球性)。
ただし、MCVという検査が行われているわけではなく、赤血球数とヘマトクリットという検査値から計算式で算出する指数です。
人間ドックなどの健康診断の際、結果レポートにこの指数が記載されていることも多いので、是非確認してみてください。
ということで、今回のテーマである「大球性貧血」は、「赤血球のサイズが大きくなる貧血症」で、MCVの値が101fl以上に大きくなることでわかります。
実は大球性貧血で治療を要する人というのは、それほど多いわけではなく、鉄欠乏性貧血と比較すると圧倒的に少ないといえます。
それなのになぜこのコラムで取り上げたかというと、血液検査の結果を見た際、貧血には至らずともMCV値が少し高くなっている方がけっこう多いからで、みなさんにこの「MCV」という値にも注目していただきたいと思うのです。
大球性貧血のパターンをとる疾患や病態は複数ありますが、それほどたくさんあるわけではなく、これからお示しする(1)~(6)の病態くらいしかありません。
代表的な疾患は(1)「巨赤芽球(きょせきがきゅう)性貧血」です。
巨赤芽球性貧血の原因はビタミンB12欠乏症あるいは葉酸欠乏症であり、これらはともにビタミンの仲間です。
ヘモグロビンを作るための鉄分が十分にあっても、これらのビタミンが欠乏していると赤血球が骨髄のなかで成熟することができないため、正常な赤血球が供給されず貧血となります。このことから正常な血液を作るには、鉄分だけではなく、ビタミンB12や葉酸などのビタミン類も必須であることがわかりますね。
ちなみにビタミンB12や葉酸は赤血球のみではなく、すべての血液細胞の成熟過程に必要なビタミンなので、これらが欠乏すると赤血球のみでなく、白血球も血小板も減少してしまう「汎血球減少(はんけっきゅうげんしょう)」というパターンを取ります。
MCVが110~120flを超えるまでに上昇してしまう時には真っ先に巨赤芽球性貧血を疑います(その他の大球性貧血ではMCVは101~110のあいだにおさまることが多い)。
またビタミンB12は神経系の細胞にも必要なビタミンなので、欠乏症では大球性貧血のみでなく、さまざまな神経障害も出現します(亜急性連合性脊髄変性症)。
ビタミンB12欠乏や葉酸欠乏が起こる原因は比較的たくさんあるのですが、ここでは割愛します。治療はビタミンB12製剤や葉酸製剤を適切な方法で補充することです。
女性に多く発症する「橋本病」という自己免疫性疾患を代表とする
(2)「甲状腺機能低下症」では、血液検査をしてみると、一部の患者さんで大球性貧血を来していることがあります。甲状腺機能低下症で大球性貧血となるメカニズムについてはよく解明されていません。甲状腺ホルモンを内服すれば改善します。
高齢者の大球性貧血では(3)「骨髄異形成症候群(こつずいいけいせいしょうこうぐん)」という血液疾患を疑いに含めておく必要があります。骨髄中で作られる血液細胞のほとんどが「できそこない細胞(異型細胞)」となってしまい、血液細胞の数が減ってしまうのみでなく、それらの機能も悪く、最終的には急性白血病に至ってしまうこともある予後の悪い疾患です。骨髄検査を行って診断し、治療方針は病型や病期分類を考慮して専門医によって検討されるべき疾患です。
そして、今回是非みなさんにご紹介したい大球性貧血の原因疾患は(4)「アルコール依存症alcoholism)」です。「依存症」といえるほどの日常的なアルコール多飲状態では、実際MCVが上昇し、貧血を呈していることがあります。
依存症ではないまでも、日常的にアルコールを摂取している方の場合、明らかな貧血はなくてもMCVは軽度上昇(101~110fl)していることがしばしばあります。
このメカニズムについては諸説ありますが、はっきりとは解明されていません。
禁酒をしてもMCVが正常化するまでには2~4ヵ月かかります。「γ(ガンマ)-GTP」というアルコール性肝障害の指標がありますが、これだけではなく、MCVにも注目すると、その人のアルコール摂取状態が推測できるのです。ご自身の飲酒状態が健康に与える影響が気にかかる方は、今後血液検査の際、MCVという指標にも注目してみてください。そしてその値が少し上昇していた場合、ご自身にとって現在の飲酒状態は望ましい状態ではなく、制限する方向に考えていくべきなのだとお考えください。
一方、(5)「肝障害」ではアルコール性でなくても一般的に大球性貧血の原因となりうるとされています。
(6)「薬剤性大球性貧血」は、薬の副作用として認められるものですが、代表的な薬剤は抗リウマチ薬や抗腫瘍薬として使用される「メソトレキセート(MTX)」というお薬です。これは葉酸拮抗薬というグループのお薬ですので、葉酸が欠乏するのと同じ状態を誘導し、先に紹介しました「巨赤芽球性貧血」の状態をきたします。
ですからこのお薬を使用する際には、必要に応じて適宜葉酸を補充しながら治療が行われます。
最近ではチロシンキナーゼ阻害薬という分子標的抗腫瘍薬のいくつかで大球性貧血となることが報告されているようですが、専門的になりすぎるので割愛します。
(副院長 増田 浩三)
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┃▼┃クリニック情報:休診、お知らせ等
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・伊能医師 3月30日(金)17:00まで 代診 小澤医師
・増田医師 4月10日(火)午前中休診 代診 小澤医師
・最新の医師時間割 http://www.yoga-urban.jp/about_yoga/staff.html
急な変更等がある場合がございます。
ホームページのニュース欄にも記載は致しますが、
詳細は、お電話にて確認して頂くと確実です。
(患者様サービス担当 正者 忠範)
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