2013/4/25
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┃■┃■┃ 月刊 用賀アーバンクリニック通信 2013年 4月号 ┃■┃■┃
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━━ こんにちは!用賀アーバンクリニックです。 ━━━━━━━━━━━
あっという間に桜の季節も終わり、いよいよ新緑の季節!かと思っていたの
ですが、先週末などはとても寒く、タンスにしまった上衣をまた出された方
も居られたのではないでしょうか?
いよいよゴールデンウイークですね。
お出かけの予定などを組まれて、楽しみにされている方も多いかと思います。
用賀アーバンクリニックはカレンダー通りの開院となります。
4月27日や30日などは混雑することが予想されますので、
気になる症状がおありの方は、お早めにご来院下さい。
4月から新しい生活が始まった方には、初めての休日ですね。
ここでしっかり英気を養いましょう。
メルマガに対するご意見はお気軽にお寄せ下さい。
それでは今月の情報をどうぞ!
(患者様サービス担当 正者 忠範)
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┃▼┃INDEX
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─ HOT! Topics ─> 用賀・世田谷近辺の最新疾病状況@2013年4月
─ 栄養コラム ─> 知っておきたい子どもの食物アレルギー
<トラブル対策>
─ 医療コラム ―> コモンな病気ファイルその23「過敏性腸症候群」(その7)
― クリニック情報 ―> 休診、クリニックからのお知らせ等
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┃▼┃HOT! Topics: 用賀・世田谷近辺の最新疾病状況@2013年4月
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先月号でもお知らせしましたが、これまでにない規模で風疹が流行しています。
当院でも、風疹と診断された患者様がおられました。
世田谷区では、今年の3月14日から
「大人の風疹予防接種費用の一部を助成する制度」
を設けています。対象者は、
・妊娠を予定しているまたは希望している女性
・妊娠している女性の夫(児の父親)
となっています。
以下のページをご参考に、ご希望のあるかたはご相談ください。
http://www.city.setagaya.lg.jp/kurashi/105/146/626/d00124886.html
なお、女性のかたがワクチンを接種された場合は、
2ヶ月間の避妊が必要になります。
さて、今年の2月21日からヘリコバクタ・ピロリ除菌療法の対象疾患に
「ヘリコバクタ・ピロリ感染胃炎」が追加されました。
これまでは、胃潰瘍や胃MALTリンパ腫などに罹患していなければ、
ピロリ菌を保険で除菌することができませんでした。
またピロリ菌に感染しているかどうかの検査も、
これらの疾病に罹患していなければ出来なかったものが、
慢性胃炎や萎縮性胃炎と指摘された患者さんにも、
ようやく認められるようになったわけです。
ピロリ菌の感染は、胃に慢性の組織学的胃炎をひきおこし、
萎縮性胃炎となり、胃癌のリスクを高めることがわかっています。
ピロリ菌に感染していなければ、
胃癌になるリスクは、極めて稀だと言われています。
つまり、胃癌は、肝臓癌(肝炎ウイルス)や
子宮頸癌(ヒトパピローマウイルス)と同じく感染症由来の癌であること
がはっきりしており、ピロリ菌の退治により胃癌が激減するのではないか
と期待されています。
保険診療で除菌を行う場合は、必ず胃カメラで形態的に胃炎を確認し、
かつピロリ菌感染診断の結果が陽性でなければいけません。
これまで人間ドックなどでピロリ菌陽性を指摘されていたものの、
保険診療が出来ないためにまだ退治をしていない人や、
胃カメラで萎縮性胃炎と指摘されたことがある人は要注意です。
是非、ご相談下さい。
最後になりましたが、
まだちらほらとインフルエンザの患者さんがおられます。
寒暖の差があり、普通風邪で受診されるかたも多い状況です。
体が冷えないように、またうがいや手洗いをして、
普段からの体調管理を励行していきましょう。
(院長 田中 勝巳)
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┃▼┃栄養コラム:知っておきたい子どもの食物アレルギー<トラブル対策>
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アレルギーの中でも、今子ども達には食物アレルギーが急増している
と言われています。
厚生労働省の調査では、0~14歳の子どもの約40%、
2人に1人は何らかのアレルギーを持っていて、
その中でも食物アレルギーは10~15%に達しています。
中には重篤な症状(アナフィラキシーショック)を引き起こし、
命にかかわることもあります。
アレルギーを誘発する量には個人差があり、ごくわずかの量でも、
食べたことがあるものでも体調次第で悪化することもあります。
そういった食物アレルギーによるトラブルを、少しでも未然に防ぐために、
まわりの大人が知っていてほしいポイントを5つにまとめてみました。
1,表示を確認、表示のないものに注意
食物アレルギーによるトラブルを予防するために、
・食品衛生法で表示が義務付けられているもの
『卵、乳、小麦、えび、かに、そば、落花生』の7品目、
・表示が推奨されているもの
『あわび、いか、いくら、オレンジ、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、鮭、
さば、ゼラチン、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、
りんご』の18品目
があります。
しかし、作ってその場で売るものや量り売りに表示はなく、
小袋のお菓子にも外袋にだけ表示があり、
小袋だけだとわからないものもあります。
市販のパッケージには『本品製造工場では○○を使った商品を製造しております』と微量混入の危険性があることを表示していることがあります。
この表示は原材料名の表示から離れたところに印刷されていることもあるので、この表記がないかしっかり包装を確認することも大切です。
また、自動販売機の飲み物でコップに注がれるタイプのものは、
どのボタンを押しても、同じ注ぎ口から出るため乳製品が含まれる可能性が
あるので、予防には「コップ式は避けた方が無難」です。
大豆のアレルギーの場合は、納豆や豆腐やきなこだけでなく、
大豆油でも反応する場合もあり、その場合にはせんべいやスナック菓子や
サラダ油を使った料理、カレールウ、マヨネーズなどかなり広い範囲となります。
大豆を使った食品ではないか、食べても大丈夫なのかを慎重に確認することが
必要です。
2,表示があっても慎重に
例えば『米粉で作ったパン』と表示があると小麦アレルギー向きかと
思いがちですが、それでも冷静にチェックが必要です。
1,米粉100%か小麦粉は混じっていないか
2,グルテンは使用していないか
(小麦のたんぱく質の一種でコシを出すためなどに使われる)
3,小麦のパンとしっかり分けて管理・包装されているかです。
小麦粉は混じってしまうと区別がつかない上に粒子は細かく、
思った以上に室内に舞うので混入しやすいという欠点があります。
また、手作りの場合などは、調理や販売者が材料を良く知らないで
表示をしている場合があります。
例えば『このパンは卵を使っていません』と表示があるのに
マヨネーズを使用していたり、『乳製品は使っていません』というメニュー
だったけれど、最後にかけられたドレッシングにはチーズが含まれていたなどです。
3,「水で洗った」は大丈夫ではない
食物アレルギーのトラブルでは「洗ったのに」ということがあります。
牛乳を飲んだコップや牛乳パック、菜箸や料理をとりわけるトング、
まな板など水ですすいで乾かすと使っても大丈夫だと思われがちです。
しかし、微量で反応する子どもは、水洗いだけではアレルギー反応がおきます。
牛乳パックで工作した手で目をこすって目が腫れてしまったり、
牛乳パックで水遊びをしていて水のかかった手足が腫れてしまうなど、
食べるだけでなく、さわるだけでも反応することがあります。
また、給水用の大型ジャグのために氷を作る場合、
牛乳パックなどで作るとその氷を入れたお茶を飲んでも、
アレルギー症状を引き起こす場合があります。
洗浄する場合はしっかり洗剤を用いるなどして洗い残しに注意しましょう。
4,除去食で栄養不足にならないように
乳幼児にアレルギーの多い『卵』や『乳』『大豆』は子どもの成長や、
病気の予防に必要なたんぱく質を豊富にふくんでいます。
単に同じ普通の食事から『卵抜き』『乳抜き(牛乳、チーズ、ヨーグルト等)』『大豆抜き』の食事にするとたんぱく質の必要量が足りなくなります。
たんぱく質を多く含む食品にはこのほか魚や肉があります。
除去する場合は必ず安全なたんぱく源をプラスすることを忘れないように
することは栄養補給のために大切です。
5,ひとりひとり違う、様々なケースがあるもの
大豆のアレルギーでは煮豆はダメであっても味噌やしょうゆ、
納豆は食べられたり、
小麦のアレルギーではパンはダメでも、うどんは食べられたり、
あるいは風邪気味などの体調不良、食後の運動の時だと、
いつもより強いアレルギー反応になることもあります。
不思議に思われるかもしれませんが、
実際にはこういったケースは珍しくありません。
好き嫌いやわがままではなく、食べたくても食べられないこともあるのです。
子どもの食物アレルギーは、年齢とともに食べられるようになる場合もありますが、そうでない場合もあります。
「かわいそうに」とか「少しぐらいなら」と勝手な判断で食べさせることは、
危険が伴います。
楽しい食事が悲しいトラブルにならないために食物アレルギーの子どもがいる場合「大丈夫かな?」と一呼吸おいて対応できるようにしたいものです。
(管理栄養士 蛯原 啓子)
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┃▼┃医療コラム:コモンな病気ファイルその23「過敏性腸症候群」(その7)
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今回は過敏性腸症候群の治療についての第4回目です。
前回から過敏性腸症候群の非薬物治療について取り上げており、
食生活の留意点についてお話しました。
今回は非薬物的治療に関して、その他に言及しておきたいことをお話して
過敏性腸症候群のシリーズを締めくくりたいと思います。
(1) 運動・身体活動量を増やす
過敏性腸症候群においては従来、運動などによって身体活動を増やすことの効果について、文献上ほとんど言及されていませんでした。
一方、うつ病などの気分障害の患者では、身体活動量を増やすことがその治療
経過に有効にはたらくことがすでに示されており、
病態生理に心療内科的要素を多々含む過敏性腸症候群でも、
ある程度の改善効果があっても不思議ではありません。
私も過敏性腸症候群の患者さんの診療では、
食事の留意点は比較的くわしくお話していますが、
運動・身体活動については、これまであまりコメントしてきませんでした。
ところが、私が過敏性腸症候群などでフォローアップさせていただいているある患者さんがある時、 「運動を積極的にするようになったら、おなかの調子がずいぶん落ち着きました」ということを教えてくれました。
これをきっかけに文献を調べてみたところ、
2011年になってスウェーデンのグループから
「過敏性腸症候群において、身体活動を増やすことの効果についての
無作為比較試験」
の結果が発表されていることがわかりました。
果たして、その研究では、
「身体活動量を増やした群では、対照群と比較して、
過敏性腸症候群の消化器症状が有意に改善され、
症状が悪化する頻度も明らかに少なかった」
ことが示されていました。
ですから、過敏性腸症候群の患者さんには、安全で有効な治療法の一つとして、積極的に体を動かして運動をしていただくことをお勧めします。
過敏性腸症候群の病態には自律神経機能のアンバランスがおおいに関与していることを以前お話しましたが、運動によって自律神経のバランスを整えることができるのかもしれません。
運動している最中は自律神経のうち交感神経系の機能が優位になっていますが、 運動後には副交感神経系の機能が優位となって心も体も休息へ向かうという切り替えが起こります。
運動などの身体活動を日常的に行うことによって、
普段からスムーズに自律神経機能の切り替えができるようになり、
そのバランスが良くなって、生活リズムも安定してくるのでしょう。
最も手軽で、普段から実践しやすい運動といえば、
やはり「ウォーキング」ではないでしょうか。
もし運動のための時間が特別にとれなくても、
通勤・通学や普段の仕事において歩く距離や時間を延ばすようにしたり、
歩くときの歩幅を大きく、速度もいつもより速めにしたりすると、
より効果が上がりやすいと思います。
(2)精神・心理療法など
過敏性腸症候群の病態には、
精神・心理的なストレスが関与していることが多いため、
心療内科では、いろいろな精神療法、心理療法などが試みられています。
われわれのようなプライマリ・ケア医とか、総合診療医とか家庭医とか、
といわれる医師は、必要に応じて、前々回ご紹介したような、
ある程度の抗不安薬や抗うつ薬を扱いますので、
過敏性腸症候群の患者さんを心療内科へ紹介することはあまりありませんが、
併存する精神疾患などがあったり、心療内科的要素が根深かかったりする場合には、積極的に専門医にコンサルトすべきと考えています。
精神科・心療内科で行われている心理療法のうち、
「認知行動療法」という治療法は多くの精神・心療内科的病態において、
その有効性が認められていて、過敏性腸症候群の患者さんでも有効率は
けっこう高いようです。
その他、催眠療法、筋弛緩法・リラクセーション法、
自律訓練法とよばれる方法などもあります。
(3)良好な患者-医師関係(ラポール)の構築
過敏性腸症候群の診療に熱心に取り組んでいらっしゃる先生方が
皆さん書いておられるのが、
「初期診療の段階で患者さんと良好な関係を構築しておくことの重要性」です。
もちろん、このことは過敏性腸症候群の診療に限ったことではなく、
すべての診療において大変重要なことで、
外来における患者と医師の「医療面接」の大きな柱の一つです。
良好な患者-医師関係のことを、フランス語に由来する「ラポール(rapport)」
という言葉で呼んでいますが、過敏性腸症候群の診療においては特に、
このラポールの構築を最初の段階で行っておくことが重要だと、
私も強く感じています。
過敏性腸症候群では、消化管症状に関する問診ばかりではなく、
睡眠の状況や気分的な問題の有無などを問診したり、
仕事の状況や家庭環境など、
精神的・身体的なストレスがないかを確認したり、
初診時から十分なコミュニケーションをとることによって、
患者さんの病状と心理・社会的背景を読み取っていきます。
そうすることによって、ラポールを構築し、
各患者さんに最も適する治療方針を決めていきます。
一方、一般的に「医療面接」の役割として、
それ自体に「治療的意義」があるとも言われています。
医師が患者の訴えにじっくり耳を傾け、
良好な患者-医師関係が構築されるだけでも、薬と同じように、
患者の症状を改善させる効果があるというのです。
ですから医師は薬を処方したり、手術をしたりするだけではなく、
その人柄や人間性をも磨いていくことで、
この「治療効果」を高めていきたいものです。
過敏性腸症候群という疾患は、医師による適切な医療面接によって、
この「治療効果」が得られやすい疾患であり、
消化器症状などを訴えて受診された患者さんでも、
最初の診察でこの疾患の病態をしっかり説明してあげれば、
お薬の効果以上によくなってしまうことをしばしば経験します。
このような意味から、過敏性腸症候群という疾患は、
その診療を行うにあたって、「病気だけを治療している」のではなく、
「病気を有する患者さん全体を治療しているのだ」
ということを強く再認識させてくれる疾患であり、
私たちとしては大変やりがいがあるのです。
医学書によっては、治療に難渋するとか、難治性だとか、
治療の有効率が低いとかという記載をよく目にしますが、
けっしてそんなことはなく、たいていの方が良くなっていきます。
さて、合計7回にわたって、隔月で1年以上かけて取り上げてまいりました
「過敏性腸症候群」ですが、この稿で終了となります。
次回からは別の「コモンな病気」を取り上げていきます。
(副院長 増田 浩三)
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┃▼┃クリニック情報:休診、お知らせ等
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・4月より、木曜日午後の小児科担当医が、以下のように変更となっております。
伊能医師 → 小澤医師
・最新の医師時間割 http://www.yoga-urban.jp/about_yoga/staff.html
急な変更等がある場合もございます。
ホームページのニュース欄にも記載は致しますが、
詳細は、お電話にて確認して頂くと確実です。
(患者様サービス担当 正者 忠範)
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━━ この用賀アーバンクリニック通信について ━━━━━━━━━━━━
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