COLUMN
管理栄養士の栄養コラム
温度によって違う味覚の感じ方
2021.02.26
新型コロナ感染症では、味覚障害という症状が話題になっていますが、私たちの味覚は、健康な時でも、温度が違うだけでも感じ方が違います。日頃の味覚の感じ方を確認しておくと健康管理にも役立ち、感じ方の違いを知っておくと知らず知らずのうちに余分に摂っていた塩分や糖分を控えることもできます。
<塩味>
〇温度の高いみそ汁より冷めたみそ汁は濃く感じる
塩分が同じでも、温かいと薄く感じ、冷たいと濃く感じる。アツアツで味見をすると濃い味付けになりやすいので、小皿にいれて少し冷ましてから。
<甘味>
〇アイスクリームは溶けると甘く感じる
砂糖を多く含むものは、冷やすほど甘味を感じにくくなるため、思っているよりも多くの糖分の摂取に。冷たいものが好きな方は摂り過ぎることもあるので注意が必要です。
〇ぜんざいやおしるこはアツアツよりややぬるめが甘くておいしく感じる
冷えた炭酸飲料や乳酸菌飲料は飲みかけをおいておくと甘く感じます。温度が高いと甘味の感じ方が弱くなり、体温と同じくらいがもっとも甘く感じると言われています
<苦味>
〇お茶やコーヒーの苦み
温度が高いと強く感じない苦さでも、冷めるにつれて苦味を感じます
〇抹茶味のお菓子や飲み物はバニラやストロベリー味より砂糖が多い
室温や低温では苦味が増すのでお菓子やデザートは砂糖が多く使用して作られるています
コーヒーゼリーは冷やすと苦味が増すので砂糖を入れて食べやすくしています
<酸味>
〇甘酢あん、南蛮漬け、パック入りもずく酢、ヨーグルトドリンクの糖度は高い
温度による感じ方の変化はないが、砂糖と酸味が一緒になると糖分を感じにくくなります
舌にある味覚細胞は毎日少しずつ、新しい細胞に作り変えられています。偏った食事が続くと味覚の感じ方に関係するミネラルである『亜鉛』が不足して鈍くなるといわれています。
塩分や糖分の多い食事が増えると、糖尿病や高血圧、肥満の原因にもなります。
加齢に伴って味覚の細胞も唾液の分泌も減ることでも味覚が鈍くなることもありますが、
日頃から、いろいろな食品を食べることで味覚の感じ方が低下しないように予防したいものですね。
(管理栄養士 蛯原 啓子)