COLUMN

管理栄養士の栄養コラム

「「○○に良いから」を栄養相談ではどうチェックしているのか」

2019.05.28

「○○を食べるだけで健康になる」という魔法の食べ物は世の中に存在しません。

しかし、テレビでは連日健康番組があり、「○○が○○に良いから」 を栄養相談で聞かない日はありません。
とても効果的なものもありますが、中には治療に影響することもあるので、 それぞれにあわせて、メリット、デメリットを説明して食事療法を支援するようにしています。

そこで今回は、栄養相談では、どんなことを確認してアドバイスをしているのか?
についてお伝えします。

チェックは主に2つです。

1. 何を足して何を減らしているのか、何か増やすだけで何も減らしてはいないのか、
それはどの時間(タイミング)でどのくらい(量・頻度)摂取しているのか

2. 治療中の病気や体調と密接に関係する栄養量(たんぱく質、炭水化物)と 『塩分』、『糖分』、『油分』の3つの『分』の摂取量が摂取前とどう変化するか

3つの分とは・・・

【塩分】

例:納豆やサバが良い、酢の物やサラダが良いということで今まで食べていなかった 人が追加で食べるようになれば、当然しょうゆや塩などの塩分量が増えます。 ということは、他の塩分を減らさなければ過剰になり、 動脈硬化予防などの効果は薄れてしまいます。

【糖分】

例:きな粉やココア、酢や豆乳はそのままよりも砂糖やハチミツを入れた方が美味しく、 そのため市販の製品の多くは甘みを加えて売られています。
これらは甘みを加えた量が多くても冷やしてとると甘さ控えめに感じてしまう特徴 があります。
デザート感覚や飲み物の場合は、特に「健康に良いから」と習慣化されやすく、 気づきにくい体重増加や血糖値上昇の原因になることもあります。

【油分】

カラダに必要な油ですが、どんなにカラダに良いとされている種類の油でも、 多いほど良いわけではありません。
現在の食生活に不足している以上に摂ることは、腹持ちは良くなりますが、 それは上がった血糖値がなかなか下がりにくことでもあります。
また、消化時間を伸ばすので、胃腸や肝臓への負担も増えます。
遅い夕飯時に多くなると胃もたれで睡眠の質が低下し、 最も大切な朝食の食欲まで低下する原因になることもあります。

食べ物は、どんなに良いといわれるものでもいつ食べるのかで効果に差がでるものが ほとんどです。摂取のタイミングを間違うとスポーツの効果や成績にも影響してきます。

特に検査値に問題がある方、減量が必要な方は、安易に健康情報を試さず、 迷ったらまずは医師や管理栄養士にご相談下さい。

(管理栄養士  蛯原啓子)

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