COLUMN
アーバン健康コラム
夜中に何度もトイレで起きる…実は「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」かも?
2026.08.31
こんにちは、オンライン診療通信です。
「夜中に何度も目が覚めてトイレに行く」
「歳をとったせいか、夜間のトイレの回数が増えて寝不足気味だ」
そんなお悩みはありませんか?
夜間頻尿は加齢や水分の取りすぎ、あるいは前立腺や膀胱の病気と思われがちですが、実は「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」という睡眠の病気が原因になっているケースが少なくありません。
今回は、夜間頻尿とSASの意外な関係性やそのメカニズム、増えてしまう理由、ご自宅にいながら手軽にできるSASの検査や治療方法について、わかりやすく解説します。

1.そもそも「夜間頻尿」が起きる3つの原因
日本泌尿器科学会によると、夜間排尿のために1回以上起きなければならない状態を「夜間頻尿」と呼びます。主な原因は大きく分けて3つあります。
- 多尿・夜間多尿: 1日の尿量全体が多い、または夜間作られる尿の割合が大きい状態
- 膀胱容量の減少: 少量しか尿が溜められない状態(過活動膀胱や前立腺肥大症など)
- 睡眠障害: 眠りが浅く、夜間に目が覚めてしまう状態
実は、SAS(睡眠時無呼吸症候群)はこの「多尿」と「睡眠障害」の双方を同時に引き起こす大きな要因になっているのです。
【出典と補足】
出典:日本泌尿器科学会「夜間頻尿」
補足:夜間頻尿は加齢とともに増加する症状ですが、単なる加齢現象として見過ごさず、背景にある睡眠障害や全身疾患の可能性を考慮することが大切です。
2.なぜ?睡眠時無呼吸症候群(SAS)で夜のトイレが増える理由
SASとは、睡眠中に気道が塞がり、何度も呼吸が止まったり浅くなったりする病気です。一見、尿とは関係なさそうに見えますが、身体の中では次のようなメカニズムが働いています。
理由①:トイレで起きるのではなく「目が覚めたから尿意を自覚する」
SASによる無呼吸が起きると、体内の酸素が不足して苦しくなり、脳が無意識に覚醒(中途覚醒)します。
通常、熟睡している間は脳から「尿意を抑える」指令が出ていますが、無呼吸によって脳が目覚めてしまうと、その抑制が外れてしまいます。その結果、膀胱にわずかに溜まっていただけの尿でも、強い「尿意」として認識してしまい、トイレに行きたくなるのです。

理由②:心臓の勘違いによる「利尿ホルモン」の分泌
無呼吸から息を吸おうとするとき、胸の中に強い陰圧がかかり、心臓へ一気に血液が流れ込みます。すると心臓の壁が引き伸ばされ、身体が「水分が多すぎる!」と勘違いを起こします。
その結果、尿を増やして水分を外に出そうとするホルモン(ANP:心房性ナトリウム利尿ペプチド)が大量に分泌され、夜間に作られる尿の量そのものが増えてしまうのです。

3.放っておくと危険!SASが引き起こす重大な健康リスク
SASは単に「眠れない」「トイレが増える」だけの病気ではありません。慢性的な酸素不足と睡眠の断片化により、重大な健康リスクを引き起こします。
SASによって低酸素状態になると、これを補うために心臓の働きが強まり、血圧が高くなります。また、睡眠不足のストレスにより、血糖値が上昇すると言われています。
このようなメカニズムにより、SASは動脈硬化を促進し、多くの心血管病の危険因子になっています。
- 生活習慣病の悪化: 高血圧や糖代謝異常などの生活習慣病に影響する
- 命に関わる循環器疾患: 脳卒中や心筋梗塞、狭心症の発症リスクが高まる
- 日常・脳への影響: 日中の強い眠気による事故リスクや、認知機能低下との関連も報告されている

【出典と補足】
出典:厚生労働省 e-ヘルスネット「睡眠時無呼吸症候群 / SAS」
補足:SASを放置すると生活習慣病の悪化だけでなく、心血管系疾患や死亡率の上昇にもつながるため、適切な検査と早期の治療介入が推奨されます。
4.SASの主な治療法
SASの治療は、症状や重症度(無呼吸低呼吸指数:AHI)、喉や鼻の構造に合わせて選択されます。
- CPAP(シーパップ)療法: 中等症〜重症の方の標準的な治療法です。寝ている間に専用の鼻マスクから空気を送り込み、気道を押し広げて無呼吸を防ぎます。
- マウスピース(スプリント)療法: 軽症〜中等症の方に用いられます。下顎を少し前に固定する専用のマウスピースを装着し、気道を確保します(※マウスピースは、歯科医院で作成します)。
- 生活習慣・睡眠姿勢の改善: 減量(肥満が原因の場合)を行うほか、気道が塞がりにくい「横向きで寝る(側臥位)」工夫などを組み合わせます。
- 外科的手術: 喉や鼻の構造的な問題(アデノイドや扁桃肥大、鼻中隔軟骨の曲がりなど)が気道を狭めている場合、手術によって原因部位を切除・形成し、空気の通り道を広げる治療法もあります。有用な場合とそうではない場合があるため専門医に相談してください。

【出典と補足】
出典:睡眠時無呼吸なおそう.com「睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療」
補足:手術適応の判断には耳鼻咽喉科等での構造評価が必須であり、症状や病態に合わせてCPAPやマウスピース等との使い分け・併用が考慮されます。
5.「もしや?」と思ったら。オンライン診療でできる自宅検査
「夜間に何度もトイレに起きる」「いびきを指摘されたことがある」「日中に強い眠気がある」という方は、一度SASの検査を受けてみることをおすすめします。
「忙しくて病院に行く時間がない」「検査は大変そう」とお考えの方もご安心ください。当院では、オンライン診療と自宅でのSAS検査が可能です。ご自宅にいながら手軽に検査を受けることができます。
オンライン診療とSAS自宅検査の流れ
- スマホやPCから予約・診察: ご自宅からビデオ通話で医師の診察を受けます。診察の上医師が必要と判断した場合に検査へ進みます。
- 検査機器をご自宅へ配送: 検査会社から簡易検査キット(指や鼻に小さなセンサーをつける機器)が郵送で届きます。
- ご自宅で装着して就寝: 自宅で就寝時に機器を装着して、一晩計測します。
- 検査機器を返送: 測定完了後、同梱の伝票でキットを返送します。
- オンラインで結果説明:測定完了後、同梱の伝票で検査会社に検査キットを返送します。
SAS検査とCPAP治療に関する詳細はこちらからご確認ください。

身体のサインを見逃さず、まずは手軽にご相談を
夜間頻尿は「歳のせい」と諦めてしまいがちですが、原因となっているSASをしっかり検査・治療することで、夜間のトラブル解消や将来の健康リスク軽減につながります。
「自分の症状もSASかもしれない」と気になった方は、まずはスマートフォンから、当院のオンライン診療へお気軽にご相談ください。
※なお、夜間頻尿の原因はSASだけではありません。症状が続く場合には、他の原因も含めて医師にご相談ください。
【編集後記】
オンライン診療通信では、これまでにも何度か「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」についての記事をお届けしてきました。しかし、恥ずかしながら私自身、「夜間頻尿」とSASの深い関係性については今回初めて知り、大変驚きました。
きっかけは、当院でSAS検査を受けられた患者様とのお話です。診察の際、先生から「トイレに行きたいから起きるのではなく、起きてしまったからトイレに行きたくなるのだ」というお話を聞いて、まさに目から鱗だったそうです。
夜中に何度もトイレで起きてしまうお悩みは、人知れず抱えている方が本当に多いテーマです。この情報が少しでも多くの方に届き、夜のストレスから解放されるきっかけになれば幸いです。
【監修】
医療法人社団プラタナス 用賀アーバンクリニック
院長 田中勝巳(総合内科専門医、循環器専門医)
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