COLUMN

管理栄養士の栄養コラム

「脂肪肝」と言われたら

2020.06.30

太っていないのに健康診断を受けたら「脂肪肝ですね」と言われて、ショックを受けている方がいらっしゃるのではないでしょうか。脂肪肝はやせていても起こり、自覚症状もないので、放置してしまいがちです。しかし、肝臓は栄養の代謝や貯蔵、解毒など生命維持に欠かせない働きをする臓器です。脂肪肝になるとその大切な機能が低下するだけでなく、動脈硬化、心筋梗塞、狭心症のリスクも高くなり、血糖値にも影響することもあるので注意が必要です。

脂肪肝は
・アルコールが原因のアルコール性脂肪肝
・お酒を飲まないタイプの非アルコール性脂肪肝
の2つがあります。
アルコール性脂肪肝はまさしく『飲みすぎ』の信号ですから、禁酒、もしくは節酒が一番の改善法です。

一方、お酒を飲まないタイプの脂肪肝は、小腸の切除、ステロイドホルモンの投与、甲状腺機能低下、極端な低栄養などの一部の方を除くとほとんどの方が『食べすぎ』で起こります。ですから、痩せの大食いと言われる方や中肉中背と言われる方でも脂肪肝と言われたら、まずは食事の中身をチェックする必要があります。

まず、注意したいものは、果物や砂糖を使った食品など糖質の多いものです。
果物の食物繊維は摂りたい栄養なので、果物はジュースで摂らず、1日1回リンゴ半分程度、みかんなら小2個くらいを上限に。水分補給は甘くないものにし、甘いお菓子は、食べる量や頻度を減らし、食べるなら量より質で選び、食べる時間も16時くらいまでがおすすめです。

次に注意したいものは、鉄を多く含む食品です。必要以上の鉄は、弱った肝臓を悪化させる場合があります。特にレバーや赤身の牛肉、魚、貝類、卵黄、大豆などは、良質なたんぱく質が取れるので必要な食品ですが、鉄も多いので一度に重ねて大量に食べないことも大切です。

増やしたい食品には野菜があります。サラダだけでなく、具だくさんのみそ汁のように加熱してカサを減らし、よく噛んで食べるみそ汁がおすすめです。1日1杯を続けてみましょう。

脂肪肝と言われたら、食べ物に注意するだけでなく、朝食抜きや、早食い、夜更かしなどの生活習慣を見直し、体を動かして消費エネルギーを増やすことが最適な方法と言われています。雨や暑さで外出が減る季節ですが、運動不足を解消するためには、外を歩かなくても拭き掃除なら座ったままでも上半身が動かせます。テーブルや床、窓、壁、お風呂場など家の中に運動場所はたくさんあります。テレビや扇風機のリモコンを使わないなどじっとしている時間を減らすだけでも、脂肪をためにくい体づくりの1歩です。

自分の生活や検査値にあった方法をみつけるには、管理栄養士に相談することも可能です。用賀アーバンクリニックでは毎週木曜日と月1回土曜日に実施しています。
予約制ですので担当医、もしくは、お電話でお問い合わせください。
(管理栄養士 蛯原啓子)

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